金曜ドラマ『リコカツ』(TBS系金曜よる10時〜)の第6話が放送された。今回は判を押した離婚届を役所に出すまでの咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)の切ない心情が繊細に、そして丁寧に描かれている。SNSでも「紘一の言葉が心に響いた」「神回だった」「コメディと胸キュンのバランス神」「悲しすぎる」「涙が止まらなかった」などの声が寄せられている。



結局、2人はなぜ離婚にいたったのか? と今さらながらに思ってしまう。お互いの両親が離婚したときも「紘一さんがいてくれて良かった」と笑顔を取り戻した咲に「自分もキミがいてくれて良かった」と不器用な笑顔を浮かべている。どう見てもこれから別れる夫婦の会話ではない。新婚ほやほやのキュンキュンシーン。だが、咲は編集の仕事を辞めて専業主婦になる気はない。紘一も自衛隊のメディックという仕事に誇りを持っているので異動は出来ない。つまり、お互いのことが好きなのに、仕事のため別れる道を選んだのである。この作品のすごいところは使い古された「私と仕事、どちらを選ぶの?」なんて陳腐なセリフをまったく使ってないことだ。特に頑固で価値観の古い紘一なら使ってしまいそうなセリフ。だが、優しい紘一は、こんな相手を顧みない言葉は決して口に出さない。だからこそ咲も本気で好きになってしまったのだろう。そんな咲の気持ちが痛いほど伝わってくるのが、今回の第6話である。



咲と紘一が雨宿りしているシーンは2人の思いが伝わり、見入った人も多かったのではなかろうか。雨の音が響く中、両親の離婚にショックを受けた咲が紘一の肩にそぉっと頭を寄せると、咲を見てどうすればいいか分からず、頭を咲の頭に寄せてコツン。ちょっと初々しさまで感じられて、めちゃくちゃいいシーンである。そして晴れた空にかかった虹を見上げながら「なんか指輪みたいじゃない?」と咲が言って手を重ね合わせる2人。手がクローズアップされると、2人の指にはまったリングが、余計に切なさを誘う。



また離婚前の最後の晩餐。

小説家の連(白洲迅)が咲の料理を食べてしまったため、「焼き魚が食べたい」と紘一はリクエスト。「毎回焼き具合が違っていて、食べる前は緊張する」と言いつつも「いつの間にか、この焼き魚がうちの味になっていた」という紘一。この“うち”という言葉は夫婦にしか使わない表現。離婚という道を2人で選んだのに、2人の思いがあふれまくっているシーンである。

そして離婚をしても家を売ることはしないと言い始める紘一。「この家に入ったとき、ホントは感動した」と打ち明けた紘一は「君にプロポーズをして、結婚式で君を幸せにすると誓った。だが、それができなかった。すまない…すみません…ごめんなさい」と謝る紘一に咲は涙を流す。「自分は思いを言語化するのに時間がかかる」と言いながら、紘一も必死に涙をこらえる。そんな紘一が離婚届を出すため、家を出て行った。本当は離婚したくない、紘一とずっと一緒にいたい、そんな思いを止めることができず、家を出て走って紘一を追いかけ始める咲。もちろん、バックにかかるのは米津玄師の「Pale Blue」初のフルバージョン。しかし、紘一に追いつくと、無情にも紘一は離婚届を出した後だった。「もう、キミの夫ではない」と紘一はロボットのような無感情の口調で咲に語りかける。おそらく自分の感情を隠した結果であろう。


握手をかわすため、右手を差し出そうとするが紘一はパッと左手に差し替える。その左手の指にリングはもうない。まだリングをはずせない咲も左手を出し、2人は握手をするが、ギュッと咲の手を握る紘一の手がふっとゆるむ。なのに咲は手の力をゆるめられない。そんな咲の思いが胸に刺さりつつ、2人の手が離れた、離れてしまった…。「幸せになってくれ」と相変わらずのロボット口調で咲に告げると、紘一は振り返りもせず、去っていってしまった。



もう涙、涙である。2人のあふれかえる思いに胸が締め付けられた。マジメすぎるゆえ、咲のためを思って離婚を撤回できない紘一。紘一だって本当は咲が好きなことは確実。たまに咲をちらちらしながら、困ったようなうれしいような表情を見れば明白である。咲だって別れたくないのに、紘一にすがりつくことはしない。いや、できないと言ったほうが正しいかもしれない。言ってみれば、大人の選択である。


2人は離婚してバツイチとなった。もしかして紘一ってバツイチなのに童貞? なんて疑問は置いといて、今後、咲のことが気になっていそうな連、そして紘一に思いを寄せる一ノ瀬隊員(田辺桃子)が気になるところ。早く次回が観たいのである。



〜“今週の紘一さん”〜(可愛いところにもスポットを!)

家を内覧した新婚夫婦から電話がかかってきて「うちを買いたいって。進めてもいいか?」と言うときの紘一のスマホの持ち方。両手の平でスマホをはさむ紘一の挙動不審な動きが可愛すぎる。また雨宿りした後、「背中に大きな穴があいている。大丈夫か?」「これはデザイン」というやり取りに思わず笑ってしまった人も多かったのでは? 連が家を出た後、マンションの前で食べていた鶏の骨を出すと、咲が受け取ろうと両手を差し出す。すると紘一が、そんなモノを咲には触らせまいと奪い取り、骨をバリボリ。野獣化してガウガウ言いながら骨をかみ砕く紘一は面白過ぎる。100個はあるという離婚の理由をメモに書き始める紘一。「離婚する理由その4。インテリアにうるさすぎる」と言うも「さっきは気に入ってるって言ってなかった?」と言うと、すぐに撤回して取り消す紘一もマジメで可愛い。さらに「行きつけのお店が大盛り過ぎる」と咲が言うと、メモには「半ライス」と書く紘一がとんちんかんすぎる。


文:今 泉


■金曜ドラマ『リコカツ』
毎週金曜よる10:00〜10:54

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