日曜劇場『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系日曜よる9時〜)の第8話が放送された。「TOKYO MERだったら主人公が亡くなったまま最終回なんて展開もやりかねないと思ったから、助かって本当に安心した。ボロ泣き」「待ってるだけじゃってオイオイッそのセリフとツッコミたくなりました」「(音羽)ツンデレ最強」「喜多見チーフの蘇生シーンでボロ泣き」と、SNSでも大きな反響があった。


以下第8話ネタバレあり【記事最後第9話あらすじ掲載】

ついに明らかになった喜多見(鈴木亮平)の秘められた過去。停電によりすべての医療機器が停止した病院に出動したMER。崩落の可能性がある屋外の発電機復旧に向かった喜多見は自らMERのメンバーにだけ過去を明かした。赤塚都知事(石田ゆり子)たちが必死に隠していた“空白の1年”を、なぜMERのメンバーに喜多見は明かしたのか。


TOKYO MERが結成された第1話で喜多見は1人で横転したバスに自らの危険を顧みず飛び込んだ。「大事なのは人の命を救うことですよ」。この姿勢は終始変わってはいない。だが、まだこの時点で喜多見は、MERのメンバーがどこまでも付いてきてくれる“仲間”だとは思っていないかもしれない。信じていないワケではないだろうが、すべてを1人で抱え込もうとしていた。第2話で喜多見は研修医の比奈(中条あやみ)を選んだ理由を、履歴書に「人の命を救いたいからです」と書いてあったからだと言っている。

そのとき「当たり前なんですけど、意外と少ないと思うんですよね。ただ純粋に人の命を救いたいってだけの医者は」と喜多見。比奈なら、自分と同じ思いで救命活動をしてくると期待したからだ。言い換えれば、そういう“仲間”を喜多見も欲していたのであろう。


そんな喜多見がMERのメンバーを“仲間”として意識したのはいつなのだろう。覚えているだろうか、立て籠もり事件があった第3話。世間体を気にして体裁だけを繕おうとする警察上層部に喜多見は「今、俺たちが行かないと、日葵ちゃんは助からないんですよ!!」と激情にかられて怒鳴りつけた。このとき、無意識だろうが喜多見は“俺たち”と言っている。命を救うため、自分だけでなく、MERのメンバー全員が必要だったということを。そして女性看護師を要求する立て籠もり犯に夏海(菜々緒)が志願したときも、喜多見はすべてを夏梅に託した。

第3話の最後、警官たちがMERのメンバーに敬礼をしている。心に残る名シーンだが、人の命を救おうという思いは伝わり、同じ思いを共有する者は仲間になれるということを改めて喜多見も認識したことだろう。同時にMERのメンバーには、すでに思いが伝わっていると確信していたと思われる。


そんな喜多見が最も信頼を置くメンバーが音羽(賀来賢人)かもしれない。音羽は第1話で現場に特攻しようとする喜多見を止めている。にもかかわらず、音羽は患者と喜多見を助けるため、自ら危険な現場に駆けつけてきた。MERにとっては敵ともいえるメンバーであることは喜多見も知っているはず。だが、どんな状況でも最終的には人の命を守ることを音羽は優先してきた。



決定的だったのが、第5話。火災の起こるエレベーター内で、患者を救うため音羽は「天沼先生(桂文珍)の救助は後回しにしてください。今すぐオペが必要です」と言い切った。官僚の音羽にとって政界の影の支配者ともいわれる天沼は絶対にさからってはけない存在。なのにさからったのだ。言ってみれば、喜多見に一番影響を受けたのが音羽であろう。



しかし、今回の第8話で音羽は喜多見に激しく反発する。喜多見がテロ組織と関係があることを知った音羽は何も話してくれない喜多見に不信感を持ったからだ。しかし赤塚知事から「MERのため」と言われて止められれば、本当のことを話すわけにもいかない。そのせいで「今後私はあなたの命令に従わず、自分の判断で行動します。皆さんも喜多見チーフに命を預けていいのかどうか、もう一度考え直したほうがいい」と音羽から告げられてしまう。“仲間”であるはずの音羽から、こんなことを言われてしまえば、喜多見もショックだったはず。第4話では寝ている喜多見に“エアグータッチ”をした音羽である。音羽も喜多見に裏切られたと思ったのだろう。


その状況で雨が降りしきる中、屋外の非常用電源の復旧に向かった喜多見。発電機を直しながら、喜多見は“空白の1年”についてMERのメンバーにだけ本当のことを告白した。崖が崩れれば命はない。死を覚悟しての言葉だった。最期の言葉だからこそ、“仲間”であるMERのメンバーに本当のことを聞いて欲しかったのだろう。

「海外で医療活動していた時、銃撃を受けた一人の患者さんが運ばれてきました。エリオット・椿さんという日系人で、彼は国際テロ組織LP9のメンバーでした。しばらくして椿さんを探しに政府の人間がやってきました。俺はここにはいないと嘘をつきました。患者さんを守りたかったからです。その翌日、椿さんは病院を去りました。俺はテロリストを匿って逃した罪で逮捕されて、刑務所に投獄されました。涼香や元妻や、赤塚都知事の助けを受けてどうにか1年後に出所して、MERに来ました。だけど今も、テロ組織と繋がりがあるんじゃないかと疑われてます。世の中的には俺は前科者で、テロ組織の一員です。MERのために隠してました…って言いたいところですけど、自分のためですね。俺の過去がバレたら誰もついてきてくれないから、みんなに黙ってたんです。ホントにすみませんでした」。


まぁ、喜多見らしい行動と言えるだろう。テロ組織の人間も民間人も、人の命を救うという行為は喜多見にとって何も変わりはない。それは今までの行動からも分かる通り。公安の月島(稲森いずみ)だって、MERの報告書を見れば、喜多見が何を考え、どうして行動しているかは分かるはず。にもかかわらず、なぜか喜多見がテロに加担している犯罪者だと信じている。第7話で椿が救急隊員に扮して喜多見に近づいていたことが発覚したからだ。当の喜多見は椿だったと気づいてもいないのに。

MERのメンバーに“空白の1年”での出来事を告白した喜多見だが、むき出しのコードに感電してしまう。

突然、イヤホンマイクから喜多見の声が途切れた音羽たちは喜多見の元へ向かおうとする。崩落の危機から駒場(橋本さとし)に止められるも、音羽は「待ってるだけじゃ、救えない命があります」と告げた。SNSでも多くの投稿があったが、“それ、喜多見の常套句!”とつっこんだ人も多かったに違いない。今までも、音羽が喜多見のように危険な現場へ行くことはあった。だが、駒場にさからい、メンバーを引き連れ、命の危険がある現場に向かったのはこれが初めてである。もう、音羽がMERのチーフになってもいいほど。もしかしたら喜多見もそう思ったからこそ、すべてを告白し、後を託したのかもしれない。

裏山に駆け付けた音羽たちは心停止した喜多見の蘇生を必死に試み、喜多見もなんとか生還。しかも音羽は白金大臣(渡辺真起子)に喜多見の“空白の1年”について嘘の報告書を提出し、MER存亡の危機は脱した。


そうとは知らず、誰もいないMERの基地に、帰ってきた喜多見はガレージから、みんなの声がすることに気づく。するとガレージからは、はしゃぐ声。全員で汚れたERカーを洗っていた。しかも音羽まで。第6話では喜多見が裸でERカーを洗うシーンが印象に残っている。今は音羽も含め、メンバー全員でERカーを洗車している。完全にMERのメンバーが、“仲間”となった証拠といってもいいだろう。

それにしても音羽と喜多見の妹、涼香(佐藤栞里)の関係があやしすぎる。涼香も言っている。「私はずっと音羽先生の味方ですから」。もう、これプロポーズじゃないの? そう思った人も多かったのでは。第9話、MERが出動するのは大使館。赤塚都知事の様態も気になるところ…最終回へ向けどのような展開をみせるのか、ますます見逃せない。


文:今泉


第9話あらすじ

外国大使館で二酸化炭素中毒事故が発生! 出動したMERに「大使館内は各国の領土であり、許可なく立ち入れない」という法律の壁が立ち塞がる。


一方、都知事・赤塚梓(石田ゆり子)は持病で倒れてしまう…指揮官不在の中、救助に向かった喜多見幸太(鈴木亮平)とレスキューの千住幹生(要潤)が患者とともに地下駐車場に閉じ込められた! 時間が経つにつれ酸素は薄れ、患者の容体は悪化…絶体絶命のピンチに、命を救うため危険な賭けに挑む!



『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』

第9話 8月29日(日)夜9時〜

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