任天堂は6月下旬に、古川俊太郎常務(46)を新社長に昇格させる。昨年3月に発売した家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が1500万台売れ、2018年3月期連結決算では売上高が7年ぶりの1兆円超えと業績がV字回復する中、現社長の君島達己氏(68)から一気に経営陣の若返りを図る。

 君島氏は、スイッチの生みの親だった岩田聡前社長の急逝を受けての昇格だったが、大役を果たした。また、君島氏の代から、創業家出身で伝説的な経営者だった山内溥氏、天才プログラマーだった岩田氏と続いた「カリスマ経営」を脱し、「集団指導体制」へと移行した。

 君島氏は開発畑出身ではなく、三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身で、実質的な開発のトップは「マリオの生みの親」である宮本茂代表取締役フェローが勤めた。一方、古川氏は経理部門が長く、経営企画室長としてスイッチのヒットに貢献した。販売計画に精通した古川氏の登板は、任天堂が集団指導体制に自信を深めたからだろう。

 ただ、歴代の大ヒットゲーム機は、同社カリスマ開発者が生んできた面もある。スイッチも岩田氏の置き土産だ。「古川氏の下で“とがった商品”を企画できるか課題だ」(業界アナリスト)。
「スイッチの次」を見つけられなければ、生き馬の目を抜くゲーム業界での生き残りは難しい。

*週刊エコノミスト6月12日号「ひと&こと」