三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATM(現金自動受払機)の共同利用に向けて動き出している。これまでは自前のATM網を構築することで個人顧客の獲得などにつなげてきたが、銀行の収益力が低下しており、ATMへの現金の輸送や管理にかかるコスト負担が重くなってきたためだ。みずほ銀行も現在進める次期システムへの移行が19年度上期(19年4〜9月)までに終われば、三菱UFJ銀、三井住友銀との共同利用の検討に加わるとみられる。

  三菱UFJ銀と三井住友銀は、ATMの手数料を相互に無料化する検討を始めた。互いの顧客がATMを無料で使えるようになれば、同じ場所に両行がATMを置く必要がなくなる。ATMには警備会社を通じた現金の輸送や防犯カメラの設置など警備の費用、端末のメンテナンスといったさまざまなコストがかかっている。ただ、ATM利用の手数料を徴収するのは顧客の反発が強く、ATMの維持はどの銀行にとっても悩みのタネとなっていた。

 ◇名古屋を皮切りに

  三菱UFJ銀と三井住友銀のATMの共同利用は、名古屋で実験を始める可能性が指摘される。三菱UFJ銀は名古屋に旧東海銀行時代からのATM網が残り、三井住友銀はATMが手薄だった地域。三菱UFJ銀にとってはATMのコストの一部を三井住友銀に負担してもらえ、三井住友銀は低いコストでATM網を強化できる。将来はATM端末の共同開発も視野に入れるが、通帳の仕様の違いなど乗り越えるハードルはいくつもある。

  問題意識はみずほ銀も同じ。至上命題のシステム移行さえ無事に終わらせれば、遠からず検討に参加する可能性が高い。メガバンク3行のATMが1カ所にまとまる日もいずれ実現することになりそうだ。 

*週刊エコノミスト6月26日号特集「銀行消滅」