日銀が7月30、31日の金融政策決定会合で表現などの修正はあったものの、金利誘導目標を据え置いた決断には伏線があった。「日銀が現行政策の副作用の蓄積に対応して金利誘導目標に修正を加える」との一部報道に反応し、10年国債利回りが急上昇。これに対し、日銀は固定利回りで無制限に国債を買い入れる「指し値オペ」を発動した。指し値オペは日銀が金利水準への考えを変えていないことを市場に宣言した形だ。

 日銀が2013年4月に異次元緩和に踏み切ってから5年以上が経過した。二つの柱は、「国債」と「日本株指数連動型ETF(上場投資信託)」の買い入れだ。

 国債買い入れは13年4月に年間60兆円の枠が設定され、14年10月に年間80兆円に拡大、16年9月には「年間80兆円をめどとし、10年国債金利を0%程度に固定する」ことを目標とし、額は結果的に決まるという現行の政策が始まった。

 ETFの買い入れは、13年4月に年間3兆円へと拡大、16年7月にはさらに年間6兆円に拡大された。6兆円はめどとしながらも、国債とは違い、現在でもノルマのように買い入れが実施されている。その額は16年8〜12月に2兆6935億円(年間6兆4644億円ペース)、17年5兆9866億円、18年1〜6月3兆5095億円(年間7兆190億円ペース)となっている。

 18年6月末の日銀の保有残高は国債が428兆円、ETFが19兆円(時価ベースでは25兆円と推算)まで積み上がった。この状態を放置すべきではないという意見が出るのは当然だ。しかし、具体的に本質的な修正方法を検証してみると、迷路に入り込んでしまう。

 国債買い入れに関しては、現在0%程度としている10年国債利回りの誘導目標を上方修正する選択肢が考えられる。しかし、利回り上昇により国債運用での収益機会を提供できる一方で、政府の利払い費用の増加を招く。何よりも10年国債利回りは、日銀が0%程度で固定するという国債市場の秩序を破壊して金利急上昇を招くリスクは冒せない。

 ETF買い入れも、国債買い入れと同じようにある基準を設定し、それを満たした時のみ買い入れを行うことで減額を図るという選択肢が考えられる。ただ、これまで株価を下支えしてきたETF買い入れの事実上の減額と解釈されれば、株式市場は間違いなく下落で反応するだろう。

 アベノミクスの命綱である株価を下落させることは政府としては受け入れ難い。金融政策の変更が引き金を引いたという批判を受けることは日銀としても避けたいだろう。

 日銀にとって、本質的な「政策修正」の選択肢はなく、現行の緩和策を続けるか、思い切って政策転換に踏み切るかしかない。

(真意一到)