井口善弘(ジャーナリスト)

「1部から降格になれば、他行との合併や非上場化を真剣に検討せざるを得ない」

 地銀経営者が危機感を強めている。長期化するマイナス金利に伴う収益力低迷に加えて、ここにきて急浮上した東京証券取引所の市場区分見直しが経営者の不安をあおっているためだ。

 注目されるのは、時価総額500億円以下の地銀。1部ボーダーラインが500億円、または250億円とされるからだ。

 表1は、東証1部上場の地銀・第二地銀・グループを時価総額順に並べたものだ(6月3日)。トップの静岡銀行(時価総額5185億円)から最下位の島根銀行(同39億円)との間には、5000億円以上、130倍もの開きがある。

 仮に東証1部ボーダーラインが250億円未満となった場合、フィデアホールディングス(HD)以下18が対象となる。これが500億円にまで引き上がると、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)以下の32と全体の4割を超える地銀・第二地銀・グループが対象となる。


軒並みPBR1倍割れ

「1部から降格する地銀は、株価に大きなインパクトを与えるだろう」と、株式ストラテジストは指摘する。年金やインデックス投信が1部上場銘柄を自動的にポートフォリオ(資産の中身)に組み入れていることから、1部からの降格は、インデックス除外による株価下落圧力が発生するためだ。

「TOPIX(東証株価指数)インデックスファンドを中心に、東証1部残留組には株式需給の好転メリット、降格銘柄には需給悪化(インデックス外し)が発生する。1部降格で、多くの地銀・第二地銀の株価が下落する可能性がある」(同ストラテジスト)

 1部残留を目指し、苦肉の策を繰り出す地銀がある。「配当水準を維持し、株価の押し上げをもくろむ」(運用会社関係者)というのだ。しかし、効果は上がっているとも思えない。「無理な配当は持続しない」と、金融当局関係者は無謀とも思える“出血サービス”に懸念を強める。


 残留組も楽観はできない。株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示すPBR(株価純資産倍率)は、軒並み1倍を割っている。これは、企業の資産価値(解散価値)よりも市場の評価が低いことを示す。PBR1倍割れは、大手行でも常態化。セブン銀行を除く大手が1倍割れの状態だ(表2)。

 株式市場は、既存銀行の将来性に疑問符を付けている。