佐々木城夛(信金中央金庫 地域・中小企業研究所主席研究員)

 信用金庫を含む金融機関の不動産向け融資が引き締まっている。貸出残高が伸び悩む中で、不動産向け融資は貸出残高を稼げる格好の業種だったが、スルガ銀行によるずさんな投資用不動産向けローンが昨年に表面化。金融庁が行政処分するなど厳しい方針で臨んだほか、金融機関に対して幅広く実態調査に乗り出し、金融機関が一斉に慎重な姿勢に転じた。不動産市況にも陰りが見え始め、その動向は予断を許さない。



 日銀によると、国内の金融機関の不動産業向け貸出残高は2018年度末、101兆4000億円を記録、うち信用金庫も16兆8000億円となった。ただ、リーマン・ショック(08年)の影響が落ち着いた12年度以降、伸び続けていた不動産業向け貸し出しに急ブレーキがかかっている。特に14年度以降は前年度比3〜6%台の増加を続けていたが、18年度は金融機関全体で0・3%増、うち信用金庫も0・2%増にとどまった。

 人口減少による地域経済衰退に加え、日銀が16年2月から始めたマイナス金利政策が追い打ちをかけ、地銀や信金など業態も入り乱れて貸出金利のディスカウント競争が激化。薄くなった利ざやの下で貸出残高という“量”を追い求める中、融資1件当たりの残高が稼げた不動産業は格好の対象となった。専業不動産業者から給与所得者(いわゆる会社員)兼オーナー向けへと貸出先の対象が広がっていったことも必然的と考える。