◇4年間の準備期間

「本当に廃止するのか」

 今年4月から始まった三井住友銀行の個人目標廃止が業界で話題となった。営業力に定評のあった住友銀行を母体の一つとするアグレッシブなメガバンクの方針転換だったからだ。

 実は三井住友銀は、今年度からの個人収益目標の廃止に向け4年間の準備期間を要した。単にノルマを廃止すれば、顧客本位の営業が定着するわけではない。個人営業における業績や人事評価体系、研修など変革は多岐にわたった。

 具体的には15年度から、商品によらず投信の業績評価上の行員の料率(手数料)を一本化。バラバラでは、少しでも手数料の高い投信を売るインセンティブが発生し、結果的に顧客にとって不利な商品の購入につながりかねない。その是正措置だ。

 16年度には、ストック収益資産残高を業績評価項目に追加。手数料ではなく、顧客の預かり資産残高で行員の業績を評価するというものだ。17年度からはストック収益資産残高評価の比重を高め、その分手数料のそれを引き下げた。

 そして18年度には、さらにストック収益資産残高評価の比重を引き上げると同時に、外部機関調査の「顧客の声」を業績評価に反映する仕組みを取り入れた。ノルマ廃止に向けた移行期間中、現場の行員から管理職まで研修を繰り返し、顧客本位の営業に向けた意識改革に取り組んだ。

 一連の取り組みを経て、今年度から店舗など拠点ごとの「収益評価」と「金融商品販売における個人目標」を廃止した。

 親会社の三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は「(収益評価廃止には)ずいぶん前から取り組んでおり、行員の意識は変わっている」と胸を張る。