(橘川武郎・東京理科大学大学院経営学研究科教授)

 2020年4月、電力システム改革の仕上げとして、電力会社の送配電事業と発電事業を別会社にすることを義務づける「発送電分離」が実施される。東京電力・福島第1原子力発電所事故後、今日までの電力業界の動向を念頭に置くと、発送電分離を契機に電力業界に新しいビジネスモデルが登場するかもしれない。

 電気事業の真の中核的な競争力は、原子力や石炭火力などの発電力にあるのではなく、停電を起こさないための系統運用能力にある。電気は、基本的に生産と同時に消費しなければならない特殊な商品だ。発電は他の事業主体でも担うことができるが、系統運用は電気事業者にしか遂行できない固有の業務である。

 系統運用能力を中核に据えた「ネットワーク重視型モデル」が、電力業界に出現しうるのであろうか。筆者はその可能性が高いとみている。