(清水美雪・NNAシンガポール版記者)

 シンガポール政府は2019年11月から、電動キックスケーターの歩道での走行を全面的に禁止した。同スケーターに代表される電動モーターで動くハンドル付きの個人用移動機器(PMD)が広く普及し、料理宅配サービスや通勤で利用する人が増えた。しかし事故も急増。9月には、自転車に乗っていた65歳の女性がスケーターに衝突して死亡した。

 スケーター以外のPMDも20年1〜3月期に歩道での走行を禁止する方針だ。車道での走行はすでに禁止されているため、今後は自転車道と、公園間をつなぐ歩行者・自転車専用道路でのみ走行が認められる。

 だが、料理宅配サービスの配達員からは、「仕事ができなくなる」と戸惑いや苦情の声が殺到。団結して閣僚らに規制見直しを訴えるロビー活動が活発化した。

 こうした動きを受けて政府は11月、配達員向け支援策として、700万シンガポールドル(約5億6000万円)を投じる計画を発表。PMDを下取りして自転車と交換、2800人超が自転車を受け取った。

 一方で12月にはスケーターの利用希望者に対して学科試験の義務付けを発表するなど、さらなる規制を打ち出している。混乱はしばらく続きそうだ。