(上野裕之、三井住友トラスト・アセットマネジメント シニアストラテジスト)

 2020年の株式市場は中東情勢の緊張から波乱の幕開けとなった。日経平均株価は、1月6日の大発会に451円下落、翌7日には370円上昇するなど乱高下を繰り返した。

 その後、トランプ米大統領は8日のイランの空爆で米兵に死者が出なかったことから報復攻撃を見送り、更なる軍事行動は望まないと発言。イランも戦争は望まないと表明したことで、マーケットは落ち着きを取り戻した。1月15日に米中通商交渉「第1段階合意」の署名が行われることを受けて、1月14日に日経平均株価は2万4000円台を回復した。

新型肺炎の影響

 しかし、安心するのもつかの間、今度は中国で発生した新型コロナウイルス(新型肺炎)の感染拡大による影響がマーケットを襲っている。今後の動向として、03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時とは、中国の存在が大きく異なることには注意が必要だろう。

 19年の中国国内総生産(GDP)は約14兆ドルで、03年の約1・7兆ドルの8倍に膨れ上がっており、世界のGDPに占める割合も当時の4倍に増している。世界のGDPの約16%(19年国際通貨基金〈IMF〉予想)を占めるようになった中国経済は、世界経済に大きく影響を与える存在となった。

 ドイツを中心とした欧州経済の低迷や、韓国・台湾など東アジアの停滞は、中国経済の減速による影響が大きく出ている。米中通商交渉「第1段階の合意」を受けて、中国経済の回復期待もあっただけに、新型肺炎の影響は大きい。

 日本でも、19年10〜11月に発表された9月中間決算において、中国での受注が想定を下回ったことで業績を下方修正した電機・機械メーカーが相次いだように、日本企業は中国経済の影響を大きく受ける。また、中国の旧正月にあたる春節の休暇に訪日中国人客を見込んでいた日本の運輸業やレジャー施設、インバウンド消費を見込んでいた化粧品メーカーや百貨店などの小売り、また、中国で事業を手掛けるアパレルや外食などには大きな打撃となるだろう。