(井上雄介・台湾在住ライター)

 1月の総統選挙で大敗した国民党の韓国瑜・高雄市長に対するリコール(解職請求)運動が盛り上がり始めた。解職は一定数の署名による「提案」と「請求」、その後の「住民投票」の3段階で行われるが、複数の市民団体が集めた提案署名が1月20日、条件をクリア。60日以内に22万8000人の署名を集めれば、住民投票となる。最新の世論調査でもリコール賛成が6割を占め、解職が現実味を帯びてきている。

 韓市長は2018年11月の統一地方選挙で、気取りのない外見や印象に残る短い言葉を有権者へのメッセージに使う「ワンフレーズ・ポリティクス」で人気となり、与党・民進党候補に圧勝。最大野党の国民党が全国で大勝する流れを作った。

 しかし、総統選挙にかまけたり、総統選挙の過程でも政策面の考えのなさがばれて人気が急落。選挙後、市長に復帰した韓氏に対し、市民からののしりやあざけりの言葉が毎日投げつけられているという。

 もっとも、民進党は市民の本音がつかみきれておらず、「追い落とすべき」と「やり直しの機会を与えよ」の2派に割れている。ある民進党立法委員(議員)は、「台湾南部の人は人情に厚く、機会を与えようと思うだろう」と、徹底追撃には慎重だ。