(伊熊啓輔・米国在住ミュージシャン)

 ニューヨークのセント・ジェームズ劇場で2018年に開幕し、公演回数800回を超えるロングラン・ミュージカル「フローズン」の閉幕が決まった。フローズンの原作は世界中で大ヒットした映画「アナと雪の女王」で、3月にはニューヨークで31のショーが行われていた人気のミュージカルの一つだった。

 歴代興行収入トップの「ライオンキング」と「アラジン」という大ヒット作品をプロデュースするなど十分な資力を持つ業界最大手のディズニーが、経済活動の再開を待たず、フローズンの閉幕を早々に決定したことで、ミュージカル業界には衝撃が広がっている。ニューヨーク・ブロードウェーの劇場は新型コロナウイルスの影響で3月12日から閉鎖が続いており、さらに今夏の全公演のキャンセルを業界団体の「ブロードウェー・リーグ」が5月中旬に発表したばかりだった。

 ニューヨーク州は6月に入り、4段階に分けて経済活動の再開を始めたが、ミュージカルなどの娯楽やエンターテインメントの再開は一番最後。公演再開のめどがまったく立たないニューヨークのエンターテインメント業界は、大恐慌以来の最大の危機を迎えている。