コロナ薬候補「アクテムラ」年内申請へ

── 新型コロナウイルスの治療薬候補として「アクテムラ」が注目されています。治験も始まったようですね。
奥田 アクテムラは関節リウマチの薬として開発されましたが、中国から新型コロナの重症の患者に対して効果があるかもしれないという報告があります。本当に効果があるか、安全に使えるかを確かめる臨床試験を米国などで開始しました。今年の夏ぐらいに結果が出る予定です。日本でも同じような臨床試験を始めていて、年内の承認申請を目指します。

── どのような薬ですか。
奥田 体内で炎症を起こすサイトカイン(細胞から分泌されるたんぱく質)の一種であるインターロイキン6(IL−6)の働きを抑える抗体医薬です。新型コロナによる重症肺炎は、サイトカインが大量に分泌されて炎症が強くなり、患者の正常な臓器を攻撃してしまいます。その主要因の一つであるIL−6の働きを止めることで、重症化や臓器不全を防ぐのではないかと期待されています。試験には時間がかかりますが、安全性が確認されたものを届けます。

── 新型コロナのワクチンを手がける計画はありますか。
奥田 今のところ予定はありません。しかし我々は抗体の構造を改変して、さまざまな機能を持たせる技術を持っています。研究子会社がシンガポール政府の研究機関と共同で、新型コロナに対する抗体医薬品の開発を目指し研究を進めています。新型コロナを引き起こすウイルスに結合し、ウイルスが細胞に感染できなくするよう作用することを目指します。

── 血友病治療薬「ヘムライブラ」が売り上げを伸ばしていますね。
奥田 2019年の世界での売り上げが10億ドル(約1070億円)を超え「ブロックバスター化」(大ヒット薬)しました。ヘムライブラは血液凝固因子のうち8番目の因子が欠損する血友病Aという疾患が対象です。Y字の形をした抗体が8番目の因子の代わりをします。

── 患者さんにどんな利点がありますか。
奥田 これまでの一般的な製剤は、毎日もしくは週に何度も静脈注射する必要がありました。しかし、ヘムライブラは腹部や足に皮下投与でき、週に1回か2週間に1回で済みます。出血を止めることができると臨床試験でも証明されています。血液製剤が効かない「インヒビター」を持った患者もヘムライブラは使用できます。