(綿貫朋子・スウェーデン在住著述家)

 スウェーデン政府は、新型コロナウイルス危機下で顕著になった高齢者福祉問題に対する改善策として、2020〜21年で計22億クローナ(約260億円)の予算を計上する。従事者が介護職の専門教育を有給で受けることを可能にし、同時に正規採用につなげて、人員の補強や能力向上を図る。これにより全国で正規雇用が1万人増える見込みだという。

 スウェーデンでは、新型コロナ対策の初期から、重症化しやすい70歳以上や持病のある人を守ると宣言したにもかかわらず、全国各地の高齢者施設で感染が拡大した。保健福祉庁によれば、5月時点で死亡者の9割が70歳以上、そのうち50%が高齢者施設、26%が訪問介護・家事サービスの利用者だ。

 原因については、11月末に提出される政府調査委員会の検証待ちだが、防衛器具の不足のほか、非正規雇用が多いなど、高齢者福祉がもともと抱えていた構造的な問題が表面化したと見られる。政府は、少しでも症状があれば仕事を休めるよう病欠補償を拡充したが、時給で働く人々にとっては制度が利用しにくいなどの問題もあった。

 多くの介護職を会員にもつ組合「コミュナール」は、今回の施策を評価しつつ、さらなる長期的改善が必要だと訴えている。