(遠藤功治・SBI証券企業調査部長)

 米テスラが2020年第3四半期(7〜9月)の決算を発表した。出荷台数は約14万台と前年同期比44%増、営業利益は約8.1億ドルと3倍増、営業利益率は9.2%でこれら数字は全て過去最高。これで初の5四半期連続での黒字となった。

 この7〜9月期は最悪期を脱したとはいえ、まだ新型コロナの影響が色濃く残り、トヨタ自動車をはじめ、世界の大半の自動車会社は大幅な減益ないしは赤字決算である。これに比べるとテスラの業績は突出している。米国ZEV(無公害車)法を唯一クリアするテスラは、今まで他社へのクレジット(温暖化ガスの排出枠)売却益により利益を確保していたのだが、今回は4億ドルのクレジット売却益に対し、その2倍の額の営業利益を確保した。

 イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)への巨額な成功報酬が一般管理費を大幅に押し上げたのだが、この影響を完全にオフセットしてこの利益率を確保したのは、米国・欧州・中国における好調な「モデル3」の販売によるところが大きい。マスクCEOは今期50万台の年間販売目標を維持、結果この第4四半期(10〜12月)は18万台強の販売(前年同期比60%増)となり、仮にこれが達成できれば、出荷・利益ともにまた記録更新となろう。

 テスラは現在、カリフォルニアと上海に計84万台の生産能力を持つが、ベルリン近郊とテキサスに新工場を建設中。上海工場の増強と合わせ、わずか2年後には現在の3倍強となる200万台を優に超える生産能力を持つことになる。今後は「モデルY」の本格的な拡販、「新型サイバートラック」や「セミ」の導入、小売価格2万5000ドルという小型車の投入、そして9月のバッテリーデーで発表された新型電池「4680」の自社生産により、電池の大幅なコストダウンを実現させる計画である。