(守屋太郎・日豪プレス特約記者)

 豪準備銀行(中央銀行)は11月3日、政策金利をさらに0・15ポイント引き下げ、0・1%とした。国債を1000億豪ドル(約7兆4500億円)買い増すなど量的緩和政策も拡大した。政府はこれまで雇用維持調整金や失業手当の増額などコロナ経済対策に2990億豪ドルを拠出。手厚い雇用支援を背景に、9月の失業率は6・9%と主要国より低水準にとどまった。

 感染拡大も比較的抑えられている。8月初旬をピークに、南部メルボルンが感染第2波に襲われたが、夜間外出禁止令や州境封鎖で封じ込め、直近の全国の新規感染者数は1桁台で推移する。

 一方、国民生活は「新しい日常」を強いられている。最大都市シドニーの飲食店では、感染経路を追跡できるように、客がQRコードをスマホで読み取り、漏えいリスクの高い個人情報を入力しなければ、入店できない。在宅勤務が定着し、留学生や観光客が消えた市内中心部は閑散としたまま。

 強力な規制と、手厚い雇用対策でコロナ禍を乗り越えてきた豪州。だが、赤字が膨らむ財政政策、主要国並みのゼロ金利に近づいた金融政策とともに、余力は縮まってきた。