(福岡静哉・毎日新聞台北支局)

 台湾の「中天テレビ」のチャンネルが、2020年12月11日で放送禁止となった。放送事業を管轄する通訊伝播委員会(NCC)が、対中融和路線の野党・国民党寄りの誤報を巡って繰り返し是正勧告をしたにもかかわらず、改善されなかったためだ。民主主義体制で報道の自由がある台湾では異例の措置と言える。

 NCCは中天に事実を報じていない放送法違反で、18年以降、21回にわたり計1073万台湾ドル(約3900万円)の罰金を命じていた。20年の総統選では国民党候補の報道に多くの時間を充て、蔡英文総統への批判的な論調が目立ち「報道が偏り過ぎている」と批判を浴びていた。

 また、中天はこれまでも“赤い(親中)メディア”とたびたび批判されている。親会社の「旺旺集団」は食品業を手がける。売り上げの9割を中国大陸で稼ぎ 「せんべいを売るために新聞を使っている」と揶揄(やゆ)されてきた。台湾紙によると、 創業者の蔡衍明会長は09年、中国政府高官に面会した際、「メディアの力を借りて両岸(中台)関係をさらに発展させる」と述べたという。

 中天側は放送禁止を受け、「言論、報道の自由は死んだ」と激しく反発。放送終了の11日には中天の支持者が集まり、蔡政権を批判した。