ロシアで新型コロナウイルスのワクチン接種証明書の偽造が社会問題となっている。ロシア製ワクチン「スプートニクV」を開発した国立研究所によると、ワクチン証明を持っているのに新型コロナに感染して重症化した患者を調べたところ、約8割が実際には接種を受けていないことが判明したという。

 同国では接客業などの従業員にワクチン接種を義務づける動きが広まっており、飲食店などの入店時に証明書の提示を求める制限措置も一部の地方で導入されている。一方、情報開示の不十分なロシア製ワクチンに対する国民の不信感は根強く、ロシアのメディアによると、規制をかいくぐるために証明書の用紙を不正に入手したり、証明書の代わりになるQRコードを偽造するなどして作った偽の証明書の売買が横行。当局による闇業者の摘発も相次いでいるという。

 ワクチンへの不信感は低い接種率にも表れており、11月初旬時点でワクチン接種を終えたのは人口の約4割にとどまっている。9月から新型コロナの感染が再拡大し、10月下旬に1日の新規感染者数が4万人を超えるなど事態は深刻だが、ワクチンを忌避する国民による接種証明の偽造は収まりそうにない。

(前谷宏・毎日新聞モスクワ支局)