1990年以降の中国は、世界中のメーカーが次々と製造拠点を建設し、「世界の工場」と呼ばれた。安価な人件費と豊富な労働力が、労働集約型の重厚長大産業の誘致を後押しした。2010年代に入ると、液晶やLED、太陽光電池などで、過剰とも言える設備投資が加速し、日本勢が苦戦する元凶ともなった。

 ただ、足元では急速にサービスを中心とした第3次産業が伸びている。NTTデータ中国投資チーフストラテジーオフィサーの新川陸一氏がまとめた統計によると、中国全体の名目GDP(国内総生産)に占める第3次産業の割合は、90年代は3割台だったのが、15年には50%を突破した。日本の約7割には及ばないものの、経済モデルが、政府主導の設備投資や輸出に依存した高成長から、自国消費を柱とした中高成長へ変遷していることが背景にある。
 北京市など都市部では大気汚染対策で工場の建設を規制しており、第2次産業の割合が小さい。新川氏は「北京市や上海市で第3次産業の割合は7〜8割に達している。地域間で数値のばらつきはあるものの、今後も全国的にサービス化は進展していくだろう」と分析する。

 第3次産業の成長を支えているのが、スマートフォンとフィンテックの普及だ。たとえば、シェア自転車が16年以降急速に広がったのは、アリペイやウィーチャットペイといったスマホ決済を導入し、QRコードで解錠できるからだ。

◇スマホとフィンテックを駆使

 ショッピングセンターや駅、空港では、ここ1年でガラス張りの1〜2人用無人カラオケボックスが次々と出現している。1曲から利用可能で、すき間時間に歌うのも可能だ。QRコードを読み取ってスマホ決済して歌うと、自らの歌声がスマホに録音される。友人とシェアしたり、スマホのコミュニティー内でランキングができる。日本の発明品であるカラオケが、スマホとフィンテックの後押しで独自のサービスとして生まれ変わった。

*週刊エコノミスト3月20日号「爆速イノベーション 中国の技術」