筋トレを始める目的は様々だろう。筋肉を大きくしてたくましい体になりたい。ダイエットをしてシュッとした体型を取り戻したい。健康を保ちたい。実はそれぞれの目的によって、最適なトレーニング頻度は異なる。最適な頻度を見極めるためには、体の構造やプロも利用する体の機能について知ることが大切だ。この記事では、筋トレの部位別のトレーニング頻度を見極めるために必要な知識についてまとめている。ぜひ参考にしてほしい。

筋トレの基本について確認


筋トレの頻度について知る前に、まずは筋トレの基本について確認していこう。筋トレの基本を知ることで、筋トレの頻度についての理解を深めることができる。
筋トレの種類と特徴
最初に確認したいのが、筋トレの種類と特徴だ。筋トレは大きく7種類あり、それぞれメリットとデメリットがある。目的に合わせて、トレーニングを使い分けるのがおすすめだ。
自重トレーニング
自重トレーニングは、腕立て伏せなど自分の体重を使って負荷をかけるトレーニングだ。特別な器具がいらず、自宅でもできる手軽さに特徴がある。ただ、複数の筋肉を同時に鍛えるため、1つの筋肉を集中的に鍛えることには向いていない。
チューブトレーニング
チューブトレーニングは、ゴム製のチューブを使ったトレーニングだ。1つの筋肉を鍛えるメニューが豊富にあるため、自重トレーニングと組み合わせるとより効率的に筋トレを進めることができる。ただ、高い負荷をかけられないというデメリットがある。
ダンベルトレーニング
ダンベルトレーニングは、その名の通りダンベルを使ったトレーニングだ。トレーニングの種類が豊富で、自宅でも全身を鍛えることができる。自宅での器具を使ったトレーニングは、ダンベルトレーニングが基本となる。バーベルやマシンと同等の負荷がかけることができる。
バーベルトレーニング
バーベルトレーニングは、ジムなどにあるバーベルを使ったトレーニングで、ウエイトトレーニングの基本と言われる。高い負荷をかけられる半面、ラックやベンチなどが必要となるため、ジム通いが必要だ。
マシントレーニング
マシントレーニングは、ジムにあるトレーニングマシンを使ったトレーニングだ。腕や足などの軌道をマシンが矯正してくれるため、狙った筋肉を鍛えることができる。ただ、体のブレを強制するため、ブレを止める役割もあるインナーマッスルは鍛えられない。
バランスボールトレーニング
バランスボールトレーニングは、不安定なバランスボールを使ってインナーマッスルを鍛えることができるトレーニングだ。ボールの反発力を動作の補助に使うため、体力に自信がないトレーニング初心者や女性も気軽に始めることができる。ただし、高い負荷をかけることは出来ない。
ケトルベルトレーニング
ケトルベルトレーニングは、ケトルベルを使ったトレーニングだ。ケトルベルとは広義にはダンベルの一種で、鉄製の球体に取手がついており、ケトル(≒やかん)のような形をしている。取手と重心が離れているため、通常のトレーニングとは違った刺激を筋肉に与えることができる。トレーニングに広い面積が必要なこと、トレーニングの種類が少ないことが欠点だ。
呼吸方法
筋肉は、息を吐くときに収縮し、吸うときに弛緩する特性がある。そのため、トレーニング中は力を入れるときに息を吐き出すことを意識すると効率的にトレーニングすることができる。ただし、負荷の大きいトレーニングの時には、を入れるときに息を止め、力を抜くときに息を吐き出すのが一般的だ。血圧が上がりやすいので高血圧の方は注意が必要。
有酸素運動
筋トレと有酸素運動を組み合わせると効率的かどうかは、筋トレの目的によって異なる。筋肉を大きくしたい場合は、筋肉をギリギリまで追い込み、すぐに栄養補給をする必要があるため、有酸素運動の優先度は低い。一方でダイエットが目的の場合は、脂肪燃焼が必要なため、有酸素運動と組み合わせると効果的だ。

筋トレの頻度は超回復に合わせる



筋トレの基本について確認したところで、筋トレの頻度を決める考え方について確認していこう。キーになるのが「超回復」だ。
超回復とは
超回復とは、筋トレ等によって破壊された筋繊維が、休養と栄養を得ることによって破壊される以前より強くなって回復することだ。筋トレと超回復を繰り返して、筋肉を肥大化させることが筋トレの基本だ。ただし、超回復が完了する前にトレーニングすると、修復中の筋繊維が破壊されて逆効果の場合もあるので注意が必要だ。筋肉が超回復する前にトレーニングを重ねていくと、疲労が蓄積して弱く細くなっていってしまう。そのまま続けるとオーバートレーニング症候群となり、睡眠障害や食欲不振、集中力の欠如などに陥る可能性もある。
筋肉痛のメカニズムと超回復との関係性
筋肉痛のメカニズムは科学的に完全に解明されたわけではない。ただ、スポーツ科学の中では経験則として認められている考え方がある。筋肉痛は、伸張性収縮(エキセントリック収縮)と呼ばれる、「負荷に耐えながら筋繊維が収縮する動作」により引き起こされるとされている。筋肉痛の原因には「筋繊維の裂傷」「乳酸の蓄積」の2つの説が唱えられているが、どちらも矛盾点が指摘されているため、説として立証されているわけではない。筋肉痛はトレーニングによって副次的に引き起こされる現象であって、筋肉が肥大する超回復とイコールではないので注意が必要だ。
各部位の超回復の時間
超回復に必要な時間は部位によって異なる。体を5つのグループに分けて、それぞれのグループに属する代表的な筋肉の超回復にかかる時間を確認していこう。
上半身の押す筋肉グループ
まずは、上半身の中でもものを前に押すときに使われる筋肉グループだ。大胸筋や三角筋(前部)、上腕三頭筋などが属する。

上半身の引く筋肉グループ
次に、上半身の中でものを後ろに引くときに使われる筋肉のグループ。胸の上腕二頭筋、背中の広背筋と脊柱起立筋、肩の三角筋(後部)・僧帽筋(そうぼうきん)などが属する。体幹を構成する大きな筋肉で、大きな力を出すことができるのが特徴だ。

下半身の筋肉グループ
続けて、体の下半身を構成する筋肉グループ。大臀筋(だいでんきん)、大腿四頭筋、大腿二頭筋などが含まれる。下半身の筋肉には超回復の時間が長いものが多い。

手足の筋肉グループ
次に、手や足の筋肉が含まれるグループ。前腕筋群や下腿三頭筋などがある。二の腕の力こぶ側の上腕二頭筋、二の腕の裏側の上腕三頭筋などの筋肉は疲労しやすく回復しやすい特徴を持っているので、トレーニングの際にはどれくらいの頻度で取り組むのか慎重に考える必要がある。

体幹の筋肉グループ
最後に、体幹を支える筋肉のグループ。腹筋などが含まれる。腹筋は、あらゆる動作に関わる筋肉で、持久力が高いという特徴がある筋肉だ。超回復の期間が短く、毎日トレーニングしても問題ないと言われている。もし腹筋を重点的に鍛えたいのであれば、通常のトレーニングとは別に、腹筋だけトレーニング頻度を上げて鍛えても良いだろう。

超回復を早める方法
ここまでに示した超回復の時間は、あくまで目安だ。人によって超回復にかかる時間は若干異なり、更に生活スタイルや食事内容などによっても変わる。ここでは、超回復を短くできる可能性がある方法について紹介しよう。あくまで「可能性がある」方法ではあるが、覚えておいて損はないだろう。


栄養補給
筋肉はタンパク質でできているため、破壊された筋繊維が回復するためには、タンパク質の補給が必要だ。プロテインなども使ってタンパク質を積極的に補給することが望ましい。炭水化物、たんぱく質、ビタミンB群は、疲労回復に必要な三大栄養素と言われており、タンパク質以外にも炭水化物やビタミンB群なども摂取するとより効果が出るとされている。これらの栄養素を運動後に摂取することで、筋肉がエネルギーとして使われないように抑制し、筋肥大を助けることができる。肉類、特に豚肉はタンパク質とビタミンB1が豊富に含まれているため、日頃の食生活も含めて食べておきたい食材だ。また、米やパンには炭水化物と食物繊維が含まれているため、こちらも日頃から食べておきたい。その他、鰻やたらこにもビタミンB1が含まれているのでおすすめだ。一方、アルコールは疲労回復を遅らせてしまうので、飲むタイミングには注意してほしい。
良質な睡眠
睡眠中は成長ホルモンの分泌濃度が高いため、疲労回復を促すことができる。特にゴールデンタイムと言われる22時から0時までの2時間の間は、しっかりと睡眠を取ることが望ましい。もちろん仕事など事情もあるだろう。ただ、遅くとも日付を超える前に寝るのが理想だ。
筋膜リリース
筋肉は、筋膜という膜に覆われており、筋トレ中はこの筋膜が収縮している。筋トレ後に筋膜をほぐすことで血行が良くなり、疲労回復につなげることができる。ローラーやボールを使って丁寧に筋肉をほぐすと良い。
交代浴
交代浴は、水風呂と熱いお風呂に交互に入る方法だ。血流が改善され、乳酸や二酸化炭素など、不要な物質を排出する効果がある。自宅で行う場合は、湯船を温めておき、冷たいシャワーと湯船を交互に入るといいだろう。
アクティブレスト
筋肉痛などがあるときに、ウォーキングやジョギングなど有酸素運動を行って血流を改善し、疲労を回復する方法だ。スポーツ選手が試合の翌日などに軽めのトレーニングをしてコンディション調整をするのは、このアクティブレストを利用している。ストレッチなどと組み合わせて軽いメニューで調整すると良いだろう。
サプリ
筋肉は主にタンパク質で構成されているため、プロテインを飲むと筋トレ効果がより期待できる。超回復には食事も大切なので、筋トレしていない日もプロテインを飲むのがおすすめだ。筋肉の分解を防ぐHMBも、余裕があれば摂取しておきたい。

筋トレの目的別の最適頻度



筋トレは、目的によって最適な頻度が異なる。筋トレの目的は、「筋肥大」「ダイエット」「筋力アップ」「健康維持」の4つに分けられる。この4つの目的に合わせて、最適なトレーニング頻度を見ていこう。
筋肥大
筋肥大を目的とした筋トレの場合、負荷の大きいトレーニングを行うため、筋肉だけでなく靭帯や関節も負担がかかる。筋肉の回復だけを考えてメニューを組むと、「筋肉は回復してもその他の部位が回復していない」という状態が生まれる可能性がある。これは怪我の原因となるので注意が必要だ。また、負荷が大きいと回復に時間がかかるため、目安期間よりも回復が長引く可能性がある。トレーニングの習熟度や内容によって個人差があることは前提として、筋肥大が目的のトレーニングは、1つの部位を週1回鍛えるのが最適だ。超回復も考えると、週3回ほどがよいとされる。
筋力アップ
筋力アップが目的の場合は、週2回程度からスタートするといいだろう。半年ほどトレーニングを続けるとフォームが安定してくるので、より適切な部位の筋力をアップすることができる。安定したフォームができるようになったら、頻度は変えずに負荷を大きくしていくことを意識してメニューを組むと効果的だ。
健康維持
週1回から2回程度のトレーニング頻度が最適だろう。正しいフォームでのトレーニングを意識することが大切だ。ダイエットと同じように、負荷は大きくしなくても問題ない。それよりも継続することのほうが大切だ。

筋トレの頻度別のメニューの組み方


それでは、各部位のトレーニング頻度を考慮した具体的なメニューの組み方を確認していこう。超回復の時間を加味してトレーニングのスケジュールを立てることが大切だ。オーバートレーニング症候群には気をつけたいものの、しっかりとトレーニングしないと、トレーニングしていない間に筋肉が後退してしまう場合もある。これはアンダートレーニングと呼ばれる。アンダートレーニグにならないためにも、負荷のかけ方は自分にあったものを見つけることが大切だ。トレーニングは、スプリットトレーニング(鍛える部位を分割して行う方法)を用いて鍛える部位を変えて行うと効率的に取り組むことができる。もし仮に1週間全ての日でトレーニングできるとしたら、スプリットトレーニングを取り入れると以下のような組み方になるだろう。ただし現実的には週に1〜2回の休みは必ず設けるべきである。

メニューの順番は、コンパウンド種目(複合関節運動)からアイソレーション種目(単関節運動)、高重量種目から低重量種目、大きな筋肉の種目から小さな筋肉の種目の順番で取り組むと、より効果を期待できる。メニューを組む際に参考にしてほしい。
週2回トレーニングする場合
ここからは、週にトレーニングできる回数別に具体的なメニューの組み方を考えていこう。今回は、筋肥大が目的の場合を想定してメニューを考えていく。

週2回のトレーニング時間を確保できる場合は、

1.上半身の押す筋肉グループ+大腿四頭筋+超回復の早い筋肉グループ

2.上半身の引く筋肉グループ+ハムストリング・臀筋群+超回復の早い筋肉グループ

の2つに分けてトレーニングするといいだろう。

別の部位をトレーニングする場合は2日連続でも問題ないが、上腕二頭筋、上腕三頭筋、下腿三頭筋などの腕やヒザ下の筋肉は、別の筋肉のトレーニングの補助役としての働きもあるため、できれば2日連続でないほうがトレーニング効果は大きい。筋肥大を想定すると、トレーニングの組み方は以下の通りだ。1日目と2日目のトレーニングする筋肉の量を同程度にするのがポイントとなる。バランスのいいトレーニングを心がけてほしい。


1日目:上半身の押す筋肉グループ+下半身の筋肉グループ
・大胸筋:3セット

・三角筋:2セット

・上腕三頭筋:2セット

・下半身:3セット


2日目:上半身の引く筋肉グループ+体幹の筋肉グループ
・背筋群:4セット

・上腕二頭筋:2セット

・腹筋群:2セット

・長背筋群:2セット


週3回トレーニングする場合
次に、週3回トレーニングできる場合を考えてみよう。週3回の場合、トレーニングする筋肉グループは

1.上半身の押す筋肉グループ+超回復の早い筋肉グループ

2.下半身の筋肉グループ

3.上半身の引く筋肉グループ+超回復の早い筋肉グループ

の3つに分けるといいだろう。筋肥大を目的とした筋トレでは、週3回のトレーニングが最も一般的だ。


1日目:上半身の押す筋肉グループ+腹筋群
・大胸筋:3セット

・三角筋:2セット

・上腕三頭筋:3セット

・腹筋群:2セット


2日目:下半身の筋肉グループ
・大腿四頭筋:4セット

・ハムストリング:3セット

・下腿筋群:3セット


3日目:上半身の引く筋肉グループ+長背筋群
・広背筋:3セット

・僧帽筋:3セット

・長背筋:2セット

・上腕二頭筋:2セット


週4回以上トレーニングする場合
週4回以上トレーニングする場合、例えば以下のように、曜日ごとにどのあたりを鍛えるか決めておくといいだろう。

・1日目→月曜日(上半身)

・2日目→火曜日(下半身)

・3日目→木曜日(上半身)

・4日目→金曜日(下半身)

上腕二頭筋や上腕三頭筋、下腿三頭筋などは、他のトレーニングの際にも疲労が蓄積するので、腕や下半身をトレーニングする場合は疲労具合も加味してメニューを組むと良い。トレーニング日数は、筋肉を大きくしたいのであれば週3日ほどだ。今回はダイエットを想定してメニューを組んだので、目的に応じてトレーニングの内容や日数をアレンジしていってほしい。


1日目
・上半身の押す筋肉グループ4セット

・腹筋群2セット


2日目
・下半身の筋肉グループ6セット
3日目
・上半身の引く筋肉グループ4セット

・長背筋群2セット


4日目
・上半身の押す筋肉グループ4セット

・腹筋群2セット


5日目
・下半身の筋肉グループ6セット
6日目
・上半身の引く筋肉グループ4セット

・長背筋群2セット