バリスタがハンドドリップで淹れた日本茶を味わう…そんな新しいスタイルの体験型日本茶専門店『東京茶寮』が話題となっている。扱う茶葉は、コーヒーやチョコレートでもよく耳にする「シングルオリジン」。産地や淹れ方などによって多彩に変化する味わいが堪能できる。

お茶を淹れるプロセスでも魅せる日本茶専用ドリッパー


『東京茶寮』を運営するのは、株式会社LUCY ALTER DESIGN。同社は、カフェで飲むスペシャルティコーヒーのように普段のライフスタイルに香り高い日本茶を取り入れ、最大限に楽しむためのブランド「green brewing」を立ち上げており、『東京茶寮』はそのブランドストア1号店でもある。

漆喰仕上げの壁に囲まれた店内は、茶室を再解釈したミニマルな装い。訪れた人は国産の無垢材を使用したカウンターでお茶をいただくことになる。この店舗の大きな特徴はふたつ。日本各地のシングルオリジン煎茶を取り揃えていること、そして、世界初のハンドドリップスタイルでお茶を提供することだ。

ハンドドリップには、LUCY ALTER DESIGNが独自に開発・デザインした日本茶専用ドリッパーが使用される。



お茶を入れる道具というと急須が思い浮かぶが、専用ドリッパーならではの特徴や魅力として、同社の谷本さんは、楽しみ方や味、機能性を挙げる。



まず、楽しみ方。ハンドドリッパーは注いでもお湯が落ちず、急須と同様に蒸らしを行える構造になっている。一方で、急須とは異なりフタがないため、お湯を注いで水面に茶葉が広がっていく様子、開いていく様子が見え、立ちのぼる香りも体感できる。また、白磁を使用することで、色味もダイレクトに伝わる。味わう前に、お茶を淹れるプロセスから楽しませてくれるのだ。



味の面では、ドリッパーは基本的に動かさず重力で抽出するため、渋味やエグミが出にくい。また、胴部分から放熱する形状で過抽出を避けられるため、二煎目、三煎目と最後まで美味しく飲むことができるのも特色だ。機能性の面でも優れており、たとえば、ケトルからお湯を流すことで簡単に洗浄できる。そのため、効率よく連続して異なるお茶を淹れることが可能だ。



東京茶寮では、これらのドリッパーの特徴を十分に活かしてバリスタがお茶を淹れてくれる。

品種や淹れ方の違いを感じられる飲み比べメニュー


『東京茶寮』では、流通量が少ない単一農園・単一品種のいわゆるシングルオリジンの茶葉を全国各地から仕入れている。コーヒーなどと同様に、産地や品種、蒸し・焙煎によって日本茶のフレーバーは異なり、さらに淹れ方によっても味は変化するという。

近年、注目されているシングルオリジンだが、ペットボトルのお茶が広まるなかで、客を確保するために重要とされてきたのは、ブレンド(合組)でお茶の味を毎年同じにすることだったと谷本さんは語る。生産者は画一的なものづくりが求められ、味や個性への努力が評価に繋がらず、経営が赤字になっていくスパイラルに陥っていたという。



「シングルオリジン煎茶では、お茶の評価が農家の実力ということになります。そして、消費者はどの地域で取れたのか、誰がどういう思いで作ったのかといった情報がダイレクトにわかります。面白いお茶を飲みたい、違いが楽しいといった消費者の価値観に対して、農家側には自分の茶葉が良かった、悪かったというダイナミズムが生まれ、市場全体が活性化します。飲む人と農家、そして茶業界の三方良しの形なのです」(谷本さん)

取り揃えられたシングルオリジン煎茶は、和栗のような甘みが感じられる「はるもえぎ」(鹿児島県産)、クセがなく爽やかな味わいの香駿(静岡県産)、凝縮された強い旨味を持つ「やぶきた やめ」(福岡県産)など。新鮮な状態を保つ窒素充填パッケージを用いて、店頭販売も実施している。

店内で提供されるメニューは、「煎茶2種飲み比べ+お茶菓子」(税込1,300円)のみ。客はまずシングルオリジンの茶葉から2種類を選択。季節ごとに変わる和洋折衷のお茶菓子も1種類選び、バリスタが淹れるお茶ともに楽しむ仕組みだ。



2種類の茶葉は、それぞれ1煎目が70度、2煎目が80度の異なる湯温で淹れられ、最後の3煎目はどちらか1種類を選び、玄米茶にして味わうことになる。シングルオリジンの煎茶を堪能してもらうために、『東京茶寮』では淹れ方にもこだわり、徹底した湯温管理と蒸らし時間の調整によって、アミノ酸・カフェイン・カテキンの抽出具合をコントロール。ワインや日本酒のように違いを明確に感じられる飲み比べメニューを実現しており、計5杯の多彩なお茶を心ゆくまで味わえる。



なお、暑さに備えて、6月からは「冷茶」も導入。バリスタに伝えれば、通常メニューで出しているホットの代わりに氷で急冷した日本茶をいただくことができる。



生産者の思いが込められたシングルオリジンのお茶を新しいスタイルで提供する『東京茶寮』。1杯ごとに異なる味わいを楽しみながら、日本茶の奥深さを再発見してみてはいかがだろうか。