「エレガント」。これはマセラティを表すときによく使われる言葉だ。たしかに、流麗さと力強さを併せ持つボディライン、華美で質感の高い内装など、マセラティはいつの時代も車体の随所に溢れる高貴な雰囲気でセレブリティや富裕層を魅了してきた。しかし、マセラティは本来、モータースポーツを由来とし、1957年にはF1グランプリでワールドチャンピオンにも輝いている。世界限定60台の『ギブリスカテナート』は、その栄光から60周年を記念したプレミアムエデョンである。

外装を黒で統一し、F1マシンで使用されるタイヤを装着した『ギブリ スカテナート』


1914年にイタリアのボローニャで誕生したマセラティは、アルフィエーリ、エルネスト、エットーレの創業家3兄弟によって、当初からレーシングカーを製作し、930年代にはシチリア島で行われた公道レース「タルガ・フローリオ」で優勝。1950年代になると、F1にも参戦し、1957年には伝説のマシン『F250』でワールドチャンピオンに輝いた。



2017年は、ワールドチャンピオンを獲得してから60周年にあたる。それを記念して設定されたのが『ギブリ スカテナート』だ。257kW(350ps)を発揮する3.0L V6ツインターボエンジンを搭載した4ドア・スポーツセダンの『ギブリ』をベースに、内外装に特別装備を施した特別仕様車である。



外装には「ネロ リベーレ」と呼ばれるブラックのマイカペイントを施し、20インチ・ウラーノホイールを装着。なかでも最大の特徴は、このホイールと組み合わせるタイヤだ。F1マシンにタイヤを供給しているピレリのハイパフォーマンスタイヤ「P ZEROカラーエディション」を日本で初めて採用。サイドに入る赤いレタリングが特別感を演出する。



またタイヤ自体も、オリジナルのタイヤ性能を維持しつつ、サイドウォールコンパウンドの柔軟性と耐クラック性能を向上。最大限のパフォーマンスを引き出してくれる。ホイールの奥に見えるレッドのブレーキキャリパーも、さりげなくこのクルマのスポーツ性能をアピールする。




価格は950万円、栄光のF1マシンの魂を受け継ぐマセラティ『ギブリ』の特別仕様車


エクステリアと同様に、インテリアも「ネロ リベーレ」で統一した。コクピットは細部まで綿密に計算された設計により、ラグジュアリーを極めた装備と相まって、スポーティなドライビングを愉しめる空間に仕上げられている。



センターダッシュボードには8.4インチの高解像度マルチタッチディスプレイを採用した新インフォテイメントシステムを搭載。Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応し、MTC+タッチスクリーンや音声認識機能により、スマートフォンを間接的に操作することが可能となっている。センターコンソールも再設計され、オーディオやインフォテイメントシステムの基本機能を操作できるダイヤル式のロータリー コントロールが備えられた。さらに、限定モデルであることを示すデディケーションプレートも配されている。




『ギブリ スカテナート』のスカテナートとは、イタリア語で「解き放たれた」という意味を持つ。60年前にサーキットに解き放たれたマセラティはF1のシリーズチャンピオンに輝き、その歴史とスピリットが『ギブリ スカテナート』へと受け継がれたわけだ。



価格はベースより25万円アップとなる950万円。リーズナブルともいえるが、世界限定60台の希少な特別仕様車だけに、手に入れるのは至難の業かもしれない。