公共施設を中心に設置が進んでおり、街で見かける機会も増えた「AED(自動体外式除細動器)」。心筋梗塞などによる心肺停止時の救命に役立つ機械ということは知っていても、正しい使い方を知っている人は少ないだろう。AEDの使用法や注意点を、医師の佐野一成さんに聞いた。

■今回のアドバイザー

佐野内科ハートクリニック

佐野一成さん


佐野内科ハートクリニック(兵庫県たつの市)院長。家庭医として全人的な診療を行う傍ら、専門医として主に虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)の診断、治療も実施。AEDの啓蒙活動も精力的に実施中。

心臓の状態を自動的に判断して適切な電気ショックを与えるAED


佐野さんによれば、心臓発作で倒れた人に対しては、いかに早くAEDを施せるかで生死が分かれるという。



佐野さん「突然死の約6割は心臓が原因とされており、年間約6万人(1日約160人)が亡くなっています。心臓が原因の突然死の大半は、“心室細動”という不整脈によって起こります。心室細動が起こると、心臓が小刻みに痙攣して、全身に血液を送り出すことができなくなってしまうのです。AEDには、自動的に心臓の状態を判断して作動し、電気ショックで心室細動の異常な鼓動のリズムを正常に戻してくれる働きがあります。AEDの対応が1分遅れるごとに7〜10%ずつ生存率が低下していくともいわれており、救急隊が到着するのを待っていると生存率はどんどん下がってしまいます。ぜひAEDの使い方を覚えておきましょう」


AEDの使い方は簡単。音声や画面で指示を出してくれるので、誰でも使える


AEDは機種によって仕様に若干の違いはあるが、音声や画面の指示に従えば使い方は簡単だという。



佐野さん「まず、倒れた人を見つけた時、最初にすることは『大声で人を呼ぶ』こと。1人で救助活動を行わず、まず周りに助けを求めることがいちばん大切です。次に、倒れた人の『意識があるか』『正常に呼吸をしているか』を確認し、もしそれがなければAEDを使用します」



具体的な使い方は、だいたい以下の手順になるという。



佐野さん「まず、電源をON(蓋を開ければ自動で電源が入る機種もある)にして、音声ガイドに従って電極パットと本体を接続します(最初から繋がっている機種もある)。次に、電極パッドを倒れた人の胸に貼ります。どこに貼るかは電極パットの上に書いてあったり、本体の画面に出たりするので、それに従ってください。心電図を判読して『電気ショックが必要です』と指示された場合、除細動のボタン(点滅する機種が多い)を押して電気ショックを行います」


電極パットを貼るときなど、AEDを扱う際には注意しておきたいポイントも


基本的な使い方は簡単なAED。しかし電極パットの貼り方など、覚えておきたい注意点もあるという。



佐野さん「電極パッドは、なるべく全面が貼り付くように丁寧に貼ってください。たとえば、胸毛が多い人の場合はそり落とすといった処置ができればベターです。また、胸が濡れている場合はタオルや布で胸を拭いてから貼り付けるようにしましょう。6歳未満には、本来は未就学児専用の電極パッドを使用しますが、緊急時に見つからない場合は成人用を使っても構いません。ただし、成人用を小児に使用する場合には、2枚のパッドが触れ合うことがないように離れたところに貼りましょう。胸と背中に心臓を鋏むように貼るのがベストです」


最後にアドバイザーからひと言


「あなたにしか救えない大切な命がそこにあります」