最近、見かけることも多くなってきた「ボルダリングジム」。カラフルなホールドがついた壁をなんなく登っていく様子は見ているだけで痛快だが、初心者が40代からボルダリングに挑戦することは可能なのだろうか? インストラクターの細野かおりさんに、ボルダリングの基本のキについてうかがった。

■今回のアドバイザー

クライミングインストラクター

細野かおり


1987年5月27日生まれ。愛称はカオリン。20歳でクライミングに出会いクライミングジムOZの店長を経験。2014年、2015年のボルダリングの日本代表となる。2014年からはフリーランスのクライミングインストラクターに。日本全国でインストラクター・セッター(登るコース・課題の作成)など、クライミングに関わる分野でオールマイティーに活躍している。

筋力以上に必要なのは、実は頭の柔らかさ


素人目には、壁に設置してあるホールドを登る楽しげなスポーツに見えるボルダリング。そもそもは過酷な岩壁の登攀(とうはん)に挑むクライマーたちのトレーニングのひとつとして誕生したものだ。



細野さん「フリークライミングの一種であるボルダリングは、岩壁を登るクライマーたちのトレーニングのひとつとして始まりました。通常のクライミングではロープを使い高いところまで登りますが、ボルダリングではロープなしで3〜4メートル程の高さの壁を登ります」



体ひとつで壁を登るボルダリングは、かなりの筋力を必要とするスポーツに見える。しかし、細野さんによると、ボルダリングで必要となるのは筋肉だけではないのだとか。



細野さん「意外に思われるかもしれませんが、ボルダリングは力だけでは登れません。登る前にどうやって登るか作戦を立て、登れなかった場合はその原因を探求するなど、頭脳もかなり使うことになります。そのゲーム性の高さに病み付きになる人も少なくありません。



もちろん、筋力を必要とする場面は多々ありますが、ボルダリングに必要な筋肉は経験を積むうちに自然と身に付いてくると思います。パワーや持久力、瞬発力、柔軟性、バランス…などなど、ボルダリングでは全身をくまなく使うので、効率よく体を鍛えることができますよ。体と頭の両方を使うためか、ボルダリングを行っている人はみんな若々しく元気な印象です」


会社帰りに手ぶらで通える気軽さが嬉しい


達成感が魅力のボルダリングだが、気軽にジムに通える手軽さも嬉しいポイントだ。



細野さん「ボルダリングではロープクライミングと違って命綱もバディも不要。クライミングシューズと、チョーク(汗取りの白い粉)があればいつだってボルダリングを楽しむことができます。このふたつのアイテムも、基本的にはジムでレンタル可能。会社帰りなど思いついた時にいつでもボルダリングジムを訪れれば良いのです。



もし、ボルダリングに本格的に取り組む気になったのならば、クライミングシューズは購入しても良いかもしれません。その際は決してネットでは購入せず、アドバイスがもらえるお店で十分に試し履きをしてから購入してくださいね。クライミングシューズは普段履く様な靴とは違い、ぎゅうぎゅうのサイズ感で履くことになるため、足に痛みがでます。しっかりと試着・検討してから購入することが重要なのです」


怪我から身を守るために、ルールは徹底的に守るべし


自由なイメージの強いボルダリングも、危険なクライミングの一種。ボルダリングジムでは、ルールを守ることが何よりも大切だ。



細野さん「ボルダリングのルールは次のとおり。【スタート】と指定されたホールド(手がかり)を両手で持ち、両足が離陸できたらスタート。同じく指定されたホールドのみを使用して登って行き、【ゴール】と指定されたホールドを両手で掴めたら終了になります。



非常にシンプルなスポーツですが、高いところに登る性質上、常に怪我の危険性のあるスポーツという認識は必要です。ジムでの一番の注意点は人との接触事故です。着地ミスなど、自分ひとりで招いた怪我は基本的に自己責任になりますが、接触事故の場合は接触事故落下地点にいた人(登っていない人)の責任になるため、登っていない時にも『どこにいたら危なくないか?』を常に考え、危機感を持って移動しましょう。登っている人も、突然の墜落の危険性があるため常に危機感を持ち、反射的に対応できる様に予測しながら登ってください」


最後にアドバイザーからひと言


「ボルダリングは何歳になっても成長を感じられるスポーツ。続けるうちにいつのまにか体型も気持ちも表情も良くなっているはず! 怪我に気をつけて楽しんでください」