高齢化、核家族化が加速しつづける現在、様々な高齢者向け施設が登場している。有料老人ホーム、介護付き老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者住宅etc. あまりに種類が多く、ついていけない方も多いのではないか。

高齢者施設にはどのような種類があるのか。老人ホームや、サ高住の設計を手がける一級建築士でありつつ、『AllAbout』では高齢者向け施設についての解説も行う、小木野貴光さんにお話を伺った。

■今回のアドバイザー

小木野貴光さん


株式会社 小木野貴光アトリエ一級建築士事務所 代表取締役。老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの福祉・介護施設、高齢者施設を中心に、建築設計などを行っている。

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まずは、以下におもな分類とその特徴をざっくりとまとめてみたのでそちらをご覧いただきたいのだが、正直それでもかなり長い。押さえるべきものを選ぶならどれか。小木野さんによれば「(1)特別養護老人ホーム、(2)老人保険施設、そして(3)グループホーム、(4)有料老人ホーム、(5)サービス付き高齢者むけ住宅の5つ」だということを先にお伝えしておく。
なお、全体をとらえる上では施設との契約体系で整理するとわかりやすいだろう。その契約体系とは(あ)「賃貸住宅」、(い)「居住施設」、(う)「介護保険施設」の3つだ。詳細はそれぞれ以下の通り。

(あ)「賃貸住宅」の種類と概要


住居部分については通常のマンションのように賃貸契約を結ぶ。介護サービスなどは別途締結する形となるのが特徴。具体的な施設名称とその概要は以下の通り。



・サービス付き高齢者向け住宅

バリアフリー構造で、ひとつの建物におよそ10〜100室程度の個室がある。なかには、共同の食堂や浴室がある施設も存在し、最低限のサービスとして安否確認や生活相談があり、少なくとも日中は専門スタッフが常駐しているのが特徴。国交省や厚労省が整備しているが、運営は補助金を受けた民間による。



・シルバーハウジング

バリアフリー化された公営住宅などで、生活援助員による日常の生活指導、安否確認などがある。地方公共団体などが提供している。



なお、その他賃貸住宅には、提供サービスが多様で、豪華な設備を備えた「高所得者用シニアマンション」などがある。


(い)「居住施設」の種類と概要


一時金を払うことで、居室などの施設を利用する権利と、介護等のサービスを受ける権利を得る形式。具体的な施設名称とその概要は以下の通り。



・有料老人ホーム

高齢者が快適な日常生活を送るための食事の提供、洗濯・掃除などの家事、入浴・排泄介助、健康管理などのサービスが提供される。介護スタッフが常駐するか否かなどで、さらに3つに分類できる。おもに民間企業が運営。



・ケアハウス(軽費老人ホーム)

諸事情により、家族との同居が困難な方が対象。自治体の助成を受ける形になり、比較的お手頃な料金で入居が可能。



・グループホーム

認知症の方が、能力に応じて役割を分担しながら介護スタッフの援助を受けつつ少人数(9人以下)で共同生活を送る、いわば認知症高齢者のシェアハウス。



・養護老人ホーム

おもに高困窮者 を入居の対象とした、自立行動が可能な高齢者向け住まい。社会復帰や自立した生活を送るための、訓練などが行われている。

(う)「介護保険施設」の種類と概要


おもに公的な団体が運営する施設。具体的な施設名称とその概要は以下の通り。



・特別養護老人ホーム

常駐スタッフが生活支援から介護サービスまでのすべてを提供し、低料金で利用可能。入居待ちの待機者が多数おり、介護度が高く、所得が低い方が優先的に入居できる。



・老人保健施設

介護サービスだけでなく、医療サービスの提供やリハビリ指導などを行っている、自宅と病院の中間のような施設。自宅復帰を目指すことが前提で、原則長期の入居はできない。



・介護療養型医療施設

医療サービスに重点を置いた施設で、療養上の医療を必要とする方のための療養病床と、認知症患者の精神的・身体的な療養のための、老人性認知症疾患療養病棟という2種類がある。



??以上、まとめ終わり。



しかし、やたらと種類が多いような気がする。それぞれ違っているとはいえ、似通ったものもあるような…。



「ここまで数多く分類がなされているのは、行政や運営側の都合という面もあるため利用者の視点で見た場合、その境界はあいまいに感じることもあるでしょうね。そのため、実際に利用を検討するなどの場合には単に分類だけで判断せず、実際に見て確かめることが重要です。特に民間が運営している施設の場合は、受けられるサービスに大きな幅がありますから、注意が必要です」(小木野さん、以下同)



ではよい施設の見分け方、ポイントどこにあるのでしょうか?



「看護師が常駐しているかどうか。何かあった際に医者が直ぐに来られる体制になっているのかなど、医療との連携がポイントとなるでしょう。また、認知症になったときにどのような対応となるかも確認しておかなくてはなりません。とりわけ、自立して動ける元気な認知症になったとき、自分が思うような対応をしてくれるのかどうかは確認が必要です」



なお、小木野さんによれば、設備などのハード面も大事だが、気にすべきはスタッフの質だという。



「以前は、末期が近くなると病院に行かされてしまう施設が多かったのですが、最近は最期を見届ける『看取り』までやってくれる施設も増えています。これは介護士のレベル、意識が高くないとできませんので、良い判断材料になると考えられますね」



読者の方のなかにも、そろそろ、いやすでに親御さんが検討に入られている方もいるはず。いずれ我が身、の話でもある。

現実に目をそらしがち、後回しにしがちな話題ではあるが、これを期に一度真剣に考えていただければ幸いだ。