2014年に起きた「マウントゴックス社の約480億円消失事件」以来、沈静化していたようにも思えるビットコインが、今年に入ってから耳にすることが増えている。ビットコインや仮想通貨という言葉は知っていても、具体的にはわからないという人も少なくないはず。いまさら人には聞けないビットコインの基本を専門家に聞いた。

■今回のアドバイザー


株式会社ビットポイントジャパン

代表取締役社長・小田玄紀さん



ビットコインをはじめ、イーサリアムなどの取引所であるビットポイントジャパンは、口座開設はもちろん、通常の現物取引に加え、レバレッジ取引やビットポイントFX取引が行えるのが特徴。

時価総額5兆円を超えるビットコインは世界的に活用できる通貨


「ビットコイン=投資」というイメージが強く、株やFXと似たようなものにも思えるが、どういった違いがあるのだろう?



「ビットコインは仮想通貨(暗号通貨)のひとつで、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用して創られたインターネット上の仮想通貨です。デジタル上の通貨ではありますが、ブロックチェーン技術により改ざんされずに使用できるため、不正使用のリスクが抑えられます。また、世界的に活用できる通貨です」(小田さん、以下同)



ブロックチェーンとは、全世界のパソコンでデータを保持することで、ネットワークを構築する技術のこと。クレジットカードでの買い物の場合、カード決済時にカード会社の認証が行われますが、ビットコインはこのブロックチェーンの技術によって認証を1社に集約せずとも認証が可能。また、全世界のパソコンを壊さなければシステムを止めることはできない通貨なのです。



ビットコインのような仮想通貨に店舗が対応していれば、法定通貨と同じように使用することができる。投資の印象が強いのは、昨今ビットコインの人気過熱に合わせて、1BTC(ビットコイン)の単価が高騰しており、買いに走る人が多いからだ。そんなビットコインが誕生した経緯についても教えてもらった。



「もともとは技術オタクの人たちの間で開発されたものがブロックチェーンであり、これを活用してできたのがビットコインです。当初は投資・投機ではなく、価値移転手段として試験的に活用されていましたが、キプロス危機の際に外貨に代わる世界的通貨として注目を浴びて価格が上がるようになりました」



念のために補足すると、キプロス危機とは、2013年にユーロ圏のキプロス共和国で起きた金融危機のこと。これを機に、世界的な注目を集めたビットコインは、同年に流通時価総額が1兆円を超える。



「以前は匿名での送金が可能であったことから、ビットコインは犯罪収益やテロリストによって活用されていたこともありました。しかし、世界的にマネーロンダリング対策が課題となった際に、政府としても掌握する必要が出てきたため、日本が先駆けて仮想通貨に関する法律を制定したんです。金融庁を管轄官庁として、仮想通貨取引における本人確認や犯罪収益対策を行うことを表明しました」



小田さんによると、これらにより、ビットコインに関する負のイメージが徐々に払拭され、価値はさらに上がりビットコインの時価総額は5兆円に至るまでになったのだとか。

仮想通貨と法定通貨の違いは発行元や与信対象


場所によっては、円やドルといった法定通貨と同じ使い方ができる仮想通貨。両者にはいったいどんな違いがあるのだろうか?



「法定通貨は発行体である政府の信用に基づき価値が変動するのに対し、仮想通貨はプログラムの信用および投資家の需要と供給によって価値が変動します。このように法定通貨と仮想通貨の違いは、与信対象が政府かプログラムかということです。政府に対して信用がない国の場合は、オープンであるプログラムのほうが安心できる対象となります」



また、仮想通貨と似たものでは、SuicaやiDといった電子マネーがある。しかし、これらともまったくの別物だという。



「電子マネーはあくまで法定通貨を電磁上に記録したものであり、価格変動はありません。仮想通貨はそれ自体が価値を持つものであり、価格変動がある点が特徴です」

仮想通貨は海外への送金や寄付に適している


デジタル上で取引を行う仮想通貨には、法定通貨よりも優れた点があるという。



「仮想通貨のメリットは送金・決済などに活用できることです。国境という概念がなく、海外への送金を瞬時に行えます。また、寄付を受ける際にも日本円からアメリカドルなど為替をする必要がないため、為替コストがかかりません。世界中から支援を受ける際には、仮想通貨が便利です」



金額や時期によっても異なるので一概にいえることではないが、海外へ送金する場合は、送金手数料や為替マージンなどで数千円〜1万円以上かかるケースもある。仮想通貨なら、これらの費用を一切かけることなく、海外と通貨のやり取りが可能。ただし、利用するには注意も必要だ。



「デメリットは価格変動です。仮想通貨はまだ大半の方が、投資・投機対象として購入・売却をするため、価格変動があります。送金・決済で使う場合は、事実上数秒〜数十分で完了しますが、その間の価格変動が現実的にはリスクです。ただし、大半は取引所がこのリスクを負うため、送金者や受金者には影響がないというのがほとんどです」



通貨としては、まだまだ歴史が浅く、価格の乱高下が危惧されている仮想通貨。しかし、海外への送金手段として優れており、ネット上だけで完結できる点はありがたい。



ビットコイン=投資という考えを持っていると、「不確かなものにお金をかけるなんて…」と思うかもしれないが、ビットコインをはじめとした仮想通貨には、投資以外の側面があることを忘れないようにしよう。