厚い胸板——。それは男性の永遠の憧れ。Tシャツを着た時に逞しく隆起する胸は男性的で、同性からだけでなく女性ウケも抜群。さらにスーツの着こなしも圧倒的にサマになり、有能なビジネスパーソンを印象づける。来たる夏に向けて“映える”胸板を作るための大胸筋のトレーニング方法を、パーソナルトレーナーの寺田さんに動画で解説してもらう。

あなたの大胸筋をチェック!


まずは、現状の把握からスタート。鏡の前に立ち、自分の大胸筋をチェックしてみよう。左右の筋肉量に差があったり、下部が鍛えられてなかったり、部位ごとの偏りはないだろうか?というのも、「大胸筋は非常に大きな筋肉です。そのため、上部、下部、内側といったターゲットの部位ごとに効果的なトレーニング方法が異なる」からだ。(寺田さん。以下同)

確認!大胸筋ってどんな筋肉?


大胸筋は胸板を形成する扇状の強力な筋で、腕を横から前方に振る動きと、上腕を内側にひねる動きの主働筋だ。既出の寺田さんのご意見の通り、体積が非常に大きな筋肉であるため、その部位によって作用する方向が異なる。以下、部位ごとの作用と効果的なトレーニングをご紹介しよう。
大胸筋上部は、脇に下ろした腕をまっすぐ前方に上げる「屈曲」と呼ばれる動作に使われる。ソフトボールでのピッチングや背泳ぎ、体操、ランニングの腕振りなどがこの動きにあたる。形の良い胸板を作るためにはこの部分を鍛えることは必須だ。


■インクラインダンベルベンチプレス 





クルー ワイエス




<インクラインダンベルベンチプレスの行い方>

1、ベンチの背もたれの角度を約30°に設定し、仰向けになる

2、ダンベルを胸の頂点にくるように持ち上げる

3、肩甲骨を寄せて胸のアーチを作る

4、大胸筋上部の筋の流れを意識して、脇を約60°〜80°に開き、ゆっくりダベンルを下ろす

5、息を吐きながら持ち上げ、吸いながら下ろす。これを繰り返す



<トレーニング時の注意点>

・肩を痛める原因になるので、ダンベルを持ち上げる際は胸のアーチをキープしたままが鉄則

・肘が中に入ったり、外に開いたりするのも禁物。拳と肘を垂直にした状態でダンベルを持ち上げる



<使用器具>

・ベンチ

・ダンベル
体の横に挙げた腕を下げる動きや、脇に下ろした腕を体全面の内側に振る動きに働く筋肉。ゴルフやバッティングのスイングの動きに代表される。分厚い胸板を作りたい人は是非鍛えたい箇所だ。


■ディップス





クルー ワイエス




<ディップスの行い方>

1、ディップスバー(平行な棒)を両手でしっかりと握る

2、体を浮かす。やや前傾姿勢で行うと大胸筋下部により効果的

3、肘を90°に曲げて体を沈め、両肘を伸ばして体を持ち上げる

4、3を繰り返す



<使用器具>

・ディップススタンドや懸垂機


■デクラインダンベルベンチプレス(デクラインベンチがない場合)





クルー ワイエス




<デクラインダンベルベンチプレスの行い方>

1、フラットベンチに横になり、両膝を立てた状態からお尻を上げる

2、ダンベルを上げる

3、肩甲骨を寄せ、肩を下げて胸のアーチを作る

4、この状態から、息を吸いながらゆっくりダンベルを下ろす

5、吐きながら上げる

6、一定のリズムで3〜5を繰り返し行う



<トレーニング時の注意点>

・1の際、お尻を上げ過ぎて腰が反らないように注意。膝から肩が一直線になるような姿勢で行う

・ダンベルを挙げた際に胸のアーチが潰れ、肩が浮くのは誤った姿勢。肩の怪我の原因となるので注意

・肘を下ろした際の肘の向きが、中に入ったり、逆に開いたりするのも肩や肘の故障の原因となる。拳と肘は垂直になるようにダンベルを下げるのがポイント



<使用器具>

・デクラインベンチ

・フラットベンチしかない場合→上記のようにお尻を高く上げ、頭を低くすれば対応可能
腕を横から前に出したり、上腕を内側にひねったりする動作で働く筋肉。この部位は特にターゲットとして定めなくても、大胸筋を鍛えるトレーニングであれば効果が期待できる。


■ベンチプレス





クルー ワイエス




<ベンチプレスの行い方>

1、ベンチに寝そべり、胸を反る。肩甲骨を寄せ、肩をお尻に近づけるイメージで落とすと正しい姿勢が作れる

2、バーベルを持つ。手を広げた状態の時に、肘と拳が垂直になる位置を握るのがポイント

3、肩の真上にバーベルを持ち上げる

4、バーベルを胸のトップラインに合わせて、ゆっくり息を吸いながら下ろす

5、吐きながら上げる

6、3〜5を繰り返す



<トレーニング時の注意点>

・胸が潰れて肩が浮いた状態でベンチプレスを行うと、肩の故障の原因となるので注意。胸のアーチをキープし、肩がベンチから離れない姿勢で行うこと

・バーベルを下ろした際に拳と肘が垂直にならず、拳が肘より上や下に倒れた状態でバーベルを上げ下げすると、肩の故障の原因になるので注意



<使用器具>

・ベンチ

・バーベル


■push up(腕立て伏せ)





クルー ワイエス




<push upの行い方>

1、両手を開いて床につける

2、つま先を床につけ、腕と足で体を支える

3、お尻と上背部と後頭部を一直線にした体勢をキープして、上半身をゆっくりと沈める

4、上体を持ち上げる



<トレーニング時の注意点>

・お尻と上背部と後頭部を一直線にキープするのが最大のポイント。この姿勢でトレーニングすれば、胸から沈み、胸から上がるため、大胸筋に負荷がかかって鍛えられる

・3で上体が沈みきった際、脇と上半身は約60°の角度で開いていれば正しいポジションでトレーニングを行えている目安となる
大胸筋の主な働きである、腕を横から前に出したり、上腕を内側にひねったりする動作に作用する。また、脇に下ろした腕をまっすぐに前に上げる動作で使う筋肉。

大胸筋の内側が鍛えられていると、胸のハリや盛り上がりが増し、逞しく均整のとれた胸板に近づく。次項で、その鍛え方について動画とともに詳しく説明しよう。

大胸筋の「魅せ筋」って何?


「魅せ筋」とはズバリ、「見栄えのする、逞しく男性らしい鍛えられた筋肉」のこと。シックスパックや胸の真ん中に入った縦の線など、思わず「魅せられて」しまう、あれだ。

特に、その部位を鍛えることでかっこよく見える効率のよい筋肉があり、大胸筋はその代表例。鍛えられた大きく強い胸板は、それだけで男の株を上げる。逆に言うと、「ここまでしっかり鍛えないとかっこよく見えない」筋肉でもあり、もろ刃の剣なので注意が必要だ。

ここからは、「魅せ筋」に近づくのに特に有効な、大胸筋の内側の筋肉強化に効果的な方法を寺田さんにご紹介いただく。

「魅せ筋」である大胸筋内側を鍛える3つのポイント


実は、大胸筋の内側「だけ」を鍛えることは難しい。しかし、内側を意識して鍛えることは可能だ。「大胸筋の内側をしっかりと絞ることにより、筋肉肥大が期待できます」

既に紹介した上部、下部に効果的なトレーニングメニューと併用し、均整の取れた胸板を作るために大胸筋の中部、特に内側に効果的なトレーニングメニューも行おう。


■ダンベルフライ





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<ダンベルフライの行い方>

1、ベンチに仰向けになる。ベンチプレス同様、肩甲骨を寄せて胸のアーチを作るのがポイント

2、ダンベルを持った両手を肩の上方に上げた状態から、ゆっくりと両腕を大きく開いて真横に下ろす。下ろす時は、息を吸う

3、胸を張って肩甲骨を寄せたまま、両腕を閉じて肩の上方へ上げる。上げる時は、息を吐く

4、2・3を繰り返す



<トレーニング時の注意点>

・2の時、胸の筋肉がしっかりと伸びていることを意識する

・2の時、胸のトップ、肘、拳が一直線上になることを心がける。拳が肘の直線上から逸脱して左右や上下に倒れてしまうのは間違ったフォーム

・3の時、大胸筋の真ん中=内側を意識する

・3の時、胸のアーチが潰れていると、大胸筋の収縮が少なくなり、トレーニング効果が低下するので注意



<使用器具>

・ダンベル

・ベンチ


■プレートプレス 





クルー ワイエス




<プレートプレスの行い方>

1、両手でプレートの中心部を握り、ベンチに仰向けになる。肩甲骨を寄せて胸を張る

2、両肩をベンチにつけた状態で、プレートを上方に上げる

3、プレートを下ろす

4、2・3を一定のリズムで繰り返す



<トレーニング時の注意点>

・プレートを下ろしてから再び上げる際、両肩がベンチから浮いていると、大胸筋の内側に負荷がかからず効果が低下するので注意



<使用器具>

・プレート

・ベンチ
ご紹介したトレーニングに使用した道具は以下。 



・ダンベル

・ベンチ

・デクラインベンチ

・ディップススタンド

・懸垂機

・バーベル



まずは、体積が嵩張らず簡単に手に入るダンベルを自宅トレーニングで取り入れてみるのがおすすめ。マシンや道具を使って鍛えたい人なら、ジムに通えばより本格的なトレーニングに励めるだろう。
今回紹介してもらったトレーニングメニューだが、筋トレ情報で散見される「●回×●セット」という実施量については、一概に全ての人に適用できないと寺田さんは警鐘を鳴らす。

「お客様の体の状態によって、トレーニングメニューはもちろん、こなす回数のご提案も変わってきます。間違ったトレーニング法や、体の状態に合っていないメニューを行えば逆に怪我の原因に。是非、プロに一度ご相談いただき、自分に合ったトレーニングを理解していただきたいですね。そしていずれは、ご自身だけでトレーニングできるようステップアップしていただくのがよいのではないでしょうか」
トレーニングには呼吸も重要だ。大胸筋を収縮させる時は息を吐き、伸張させる時は息を吸うが基本スタイル。力を入れる際の急激な血圧上昇を防ぐため、そして体内の酸素供給量を増やし、臓器や筋肉の動きを活性化することでトレーニング効果を高めることができる。
鍛えづらい大胸筋の内側のトレーニング中、寺田さんが繰り返し強調したのが「効かせたい筋肉を意識すること」だ。

「MMC(mind muscle connection:マインドマッスルコネクション)という鍛えたい筋肉に意識を集中させることで、筋繊維が活性化するという説があります。どのトレーニングにおいても有効だと考えています」

ただ、その「意識する」ということが素人にとっては難しい。「鍛えたい筋の走行について理解すれば意識しやすくなります」。わずかな知識の差が、トレーニングに違いを生むようだ。

内側まで鍛えられたパーフェクト胸板を目指そう


今すぐ自宅でできそうなメニューも、ジムで専門家に指導してもらいたいメニューも網羅してご紹介した。毎晩の入浴のたびに見惚れる「魅せる」胸板があれば、自信が漲り仕事のパフォーマンスも上がりそう。家庭でも職場でも健康状態も評価の上がる大胸筋を、夏までに手に入れていただきたい。