多くのゴルフ場が抱えている「人手不足」。コース管理も例外ではなく、昔に比べるとラフをカットするサイクルが確実に長くなっています。そうなるとスロープレーにつながる「ボール捜索」も多くなるという悪循環に陥ってしまいます。

フェアウェイをわずかに外れたボールが見つからない

 猛暑の影響なのか、豪雨の影響なのか、それとも両方が原因なのか分かりませんが、ラフの芝生がかなり伸びているゴルフ場が目立ちます。

 レッドペナルティーエリア内やイエローペナルティーエリア内のラフであれば仕方がないのですが、フェアウェイのすぐ横のラフや、カート道のすぐ横のラフがくるぶしよりも長く伸びていると、ボールがすっぽりと隠れてしまいます。

夏場はどんどん伸びるラフの芝。カットするペースが空けばそれだけ長くなってしまう 写真:AC
夏場はどんどん伸びるラフの芝。カットするペースが空けばそれだけ長くなってしまう 写真:AC

 先日のラウンドでも、同伴者のパー5のせセカンドショットがカート道の右サイドに生い茂ったラフに転がり込み、なかなか見つからなくて困りました。

 打った本人からすると、カート道から少し横にそれただけなのに、そのボールが見つからないと簡単に諦めることができません。「なくなるような球じゃないんだけどな」といいながら、周辺のラフをいつまでも探すことになります。

 同伴者はボールがすぐに見つかると思っていますから、最初のうちは自分のボールの近くから様子を見守ります。やがて「どうやらボールが見つからないようだぞ」ということに気づき、途中からボール探しに加わります。

 ただ、打った本人がラフにボールが入る場面を見ているのに、その本人が見つけられないとなると、同伴者が見つけられる可能性は低いです。ラフの真横や真上から見てもボールの所在が分からないのですから、手足で芝生をかき分け、ボールを見つけるしかないのです。

 このときはラフの芝生を30センチ四方ずつ足でかき分けながらカニ歩きで探していったところ、5メートルほどの捜索で何とかボールを見つけることができました。

 それでも見つからなければ「このあたりのラフから新しいボールで、ノーペナルティーでプレーを再開されたらどうですか」と伝えるつもりでしたが、それを受け入れるかどうかも本人次第です。

 打った本人は「そんなに悪いショットではなかったのにボールが見つからないなんて理不尽だ」という思いがありますから、未練が残ります。そうすると捜索時間の3分が経過するのなんてあっという間です。

 こちらも競技委員ではありませんから、腕時計を見ながら3分を計測するようなことはしません。本人が諦めるまで一緒に探し、後ろの組が追いついてきたら捜索の打ち切りを提案します。

 でも、「これって結局、フェアゾーンのラフが必要以上に長いからだよね」といつも思ってしまいます。

夏場はラフの刈り込みの優先順位を上げるべきでは

 ゴルフ場関係者に話を聞くと、以前はプレー進行に配慮してラフを短く刈り込むのが主流でしたが、コース管理スタッフの人手不足でラフの刈り込みが後回しになり、グリーンの刈り込みとフェアウェイの刈り込みで手いっぱいになってしまうそうです。

「フェアウェイとグリーンは毎日刈り込みますが、ラフは1日3ホールずつ6日間かけて18ホールを刈り込んでいく感じです。でも、そうすると刈り込んで5日間経ったラフはけっこう長く伸びてしまいます。自分たちがプレーしていても、『ここのラフはちょっと長すぎるな』と感じることがありますから、お客様にはご迷惑をおかけしています」

 個人的な印象としては、フェアウェイでボールがなくなることはほとんどありませんから、フェアウェイの刈り込みを減らしてラフの刈り込みを増やしたほうがいいのではないかと思いますが、そういうわけにもいかないのでしょう。

 ただ、プレー進行のことを考えると、夏ラフの刈り込みが追いついていないのはゴルフ場にとって自分で自分の首を絞めている状態です。ハーフ2時間15分以内のプレーを推奨するのであれば、ラフに入ったボールがすぐに見つかるコンディションで営業を行なうのが何よりの特効薬になるはずです。

保井友秀