ピン位置が高い「砲台グリーン」へのアプローチは、落とし所が見えず距離感をつかみづらいので難易度は高い。この状況を最小限のミスで済ませるにはどんな戦略や考え方が必要なのでしょうか。筒康博(つつ・やすひろ)コーチは「特殊なスイングやスピンに頼らない方がリスクも少なく成功率が高い」といいます。
「プリン型」は難易度MAX!? 誰もが嫌いな砲台グリーン
日本では昔から大砲の台座のような形状から「砲台グリーン」と呼んでいますが、現代のゴルファーで実際に砲台を見たことがある人はほとんどいないでしょう。
グリーン面が周辺より高いのが砲台グリーンの特徴で、パターを使った安全策が使えない場合や、「プリン」の様な形状で全くグリーン面が見えないぐらい高低差があるものもあります。

この場合、柔らかいボールで打ち上げ、高さやスピンで止めなくてはいけません。加えてピンの手前にバンカーがあったり奥がOBだったりすると、更に難易度は増します。
「こんな状況を作らない」のが一番かも知れませんが、もし砲台グリーンにアプローチする場合は「往復ビンタ」の様に行ったり来たりすることが最悪なパターン。そうならなくて済む方法はないのかをお伝えします。
「逃げ道」があるなら利用する! スイング前に必要な「状況の把握」
いざボールに到着してから「難しそうだな……」と考えるのではなく、カートでの移動中に「状況の把握」をすることが打ち方より重要です。

具体的には「左の手前にはバンカーがある」や「右と奥は乗らなくてもトラブルにならなそう」など、まずグリーン周囲の確認が第一。その次に距離の確認と芝の状態、傾斜などライの確認になります。
基本的には高く上がる弾道で打ちたいのですが、フカフカな芝なら「多少ダフって平気」や「ラフで距離が落ちそうだから大きめに打とう」などの判断が必要になります。一応、使用クラブも2本くらいは持って行くのがベターです。
ベタピンを夢見ない! 現実的スイングで「OKゾーン」に打つ
砲台グリーンのアプローチで一番悪いのは、ベタピン欲にかられ中途半端なイメージを持ったまま打ってしまうことです。
写真の状況では「左バンカーと手前」をキャリーで越えることを最優先、「右や奥はOK」などミスの優先順位を決めておくことがコツです。

また、なるべく普段のスイングに近いイメージで臨むことも、プレッシャーを受けにくい方法です。急に高弾道でスピンの効いた球を打つような「複雑なスイング」をやろうとしない方が賢明です。
基本的に砲台グリーンへのアプローチは、ピンの位置がどこでも「やや大きめ」にキャリーさせるイメージが必要。
ちなみ写真の状況は、芝の状態も比較的フカフカで傾斜も上り坂です。「普通に打てば高いボールになる」と判断し、距離イメージよりも大きめに打ってみたところ、結果的にピン80センチに寄せることができました。
周りのゴルファーからは「サンドウェッジを開き、スピンをかけた高弾道ショット」に見えたかも知れませんが、複雑なスイングはせずクラブのロフトと傾斜に任せ「自分で決めた」大きめの振り幅に集中しただけなのです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。
猿場トール