PGAツアープレーヤーにも使用者が多い三菱ケミカルのシャフトブランド「TENSEI」と「Diamana」。その2大ブランドから、誰にでも合いやすい中調子系のモデルとして展開されているのが「TENSEI PRO BLUE 1K」と「Diamana TB」です。ゴルフライターの鶴原弘高が比較試打して、2モデルでのしなり特性や弾道の違いをレポートします。
三菱ケミカルの“ブループロファイル”はクセのなさが特徴
「Diamana」と「TENSEI」は、どちらもクラブメーカーのカスタムシャフトに採用されることが多く、三菱ケミカルの二枚看板ともいうべきメインブランドです。ざっくり言うと、「Diamana」はプレミアムな素材と製法を用いたアスリート向けシャフトの伝統的なブランド。それに対して「TENSEI」は、これまでにない素材や技術を積極的に採用する先進的なアスリートブランドというような位置づけになっています。

三菱ケミカルのシャフトは、カラーリングやモデル名の英字によってシャフト特性が分かるようにつくられていて、青色が使われていたり、モデル名に「BLUE」(Bだけの場合もある)が付くものは中調子系のシャフトです。現在発売されているモデルのなかでは、2020年発売の「Diamana TB」や、今年発売された「TENSEI PRO BLUE 1K」がそれにあたります。
三菱ケミカルでは“ブループロファイル”なんてカッコいい呼び方もしていますが、こういった中調子系のシャフトは一般的にクセがなく、ゴルファーのスイングタイプを選ばないのが魅力です。
果たして「Diamana TB」と「TENSEI PRO BLUE 1K」も誰にでも使いやすいシャフトなのでしょうか。また、同じスペックで弾道やフィーリングにはどういった違いがあるのでしょうか。今回は、2モデルの50グラム台と60グラム台のフレックスSを同じヘッドで打ち比べました。
補正能力が高い「TENSEI PRO BLUE 1K」と操作性に優れる「Diamana TB」

まずは、50グラム台のフレックスSから比較試打を始めました。
「TENSEI PRO BLUE 1K」は、先端と手元がしっかりしていて、中間部に軟らかさを感じます。インパクト手前からは、中間から先がスピード感を持ってしなり戻り、打ち出し角を上げつつ、球をつかまえる手助けをしてくれます。先端部分は硬めなのですが、中間からのしなりでボールスピードを上げてくれそうな中調子シャフトです。しなりを感じやすいシャフトなので、50グラム台のフレックスSだと、ヘッドスピード40〜43m/sの人にちょうど良さそうです。
それに対して「Diamana TB」は、シャフト全域での剛性感が高いです。中調子のフィーリングはあるものの、「TENSEI PRO BLUE 1K」ほどは中間部のしなりを感じません。抑揚のないフラットな振り心地になっています。弾道にも違いがあり、同じ50グラム台のSでも「TENSEI PRO BLUE 1K」より低スピンの強弾道になりやすく、つかまり感も抑えられます。分かりやすくいうと、「TENSEI PRO BLUE 1K」よりも動きが少なくてハードめ。ただし、しっかりしたシャフトが好きな人なら、ヘッドスピード40m/sでも使えるでしょう。
60グラム台のフレックスSになると、「TENSEI PRO BLUE 1K」でもシャフト全域での剛性差が少なくなり、フラットな振り心地になってきます。それでもスイング中にシャフトが適度に動いて、弾道を補正してくれる性能に変わりはありません。
「Diamana TB」の60グラム台になると、同じ重量帯の「TENSEI PRO BLUE 1K」よりもさらに手元と先端の剛性感が高くなり、シャフト自体のしなり量が少なくなります。余計な動きをしないので操作性が高く、弾道コントロールをしやすいメリットがありますが、逆にいうとシャフト自体の遊びが少なく、ゴルファー側のミスには手厳しい印象も受けました。
一般アマチュアが新たな可能性を求めるなら「TENSEI PRO BLUE 1K」がオススメ

どちらも“ブループロファイル”で開発されているシャフトなので、実際に打ってみても中間部にしなりが感じられるし、確かにどんなゴルファーでも違和感なく使えそうです。ただし、シャフト挙動やフィーリングにはけっこう違いがありました。
「Diamana TB」はアスリートブランドのディアマナらしく、シャフト自体の動きが少なく、コントロール性が重視されています。イメージとしては、ショットスキルの高い競技ゴルファー向けです。
「TENSEI PRO BLUE 1K」は、クセのない中間しなりながら、弾道補正能力を備えているのが特長です。適度なつかまり感があり、ボールスピードを上げてくれそうな雰囲気もあります。それでいて安定性も損なっていません。ドライバーショットの可能性を高めてくれるモデルを選ぶなら、間違いなく「TENSEI PRO BLUE 1K」のほうです。一般的なアマチュアにも、やさしさが感じられる「TENSEI PRO BLUE 1K」をオススメします。
試打・文/鶴原弘高つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :tsuruhara_hirotaka
鶴原弘高