谷原秀人プロが「ANAオープンゴルフトーナメント」で勝利をもぎ取り、通算19 勝目となる今季2勝目を挙げました。44歳のベテランが使用しているドライバーは、プロギア「RS F」と「RS プロトタイプ ワンクローバー」の2モデル。ゴルフライターの鶴原弘高がこれらの2モデルを試打して、ヘッド性能の違いを確かめました。
谷原秀人はプロギアの最新ドライバー2モデルを使い分けている
今大会で谷原秀人が使用していたのは、2022年7月から発売されている最新モデル「RS F ドライバー」です。プロギアは「RS JUST」シリーズとして、「RS ドライバー」「RS D ドライバー」「RS F ドライバー」の3モデルを展開していて、「RS F ドライバー」はもっとも浅重心設計のモデルとなっています。なおかつ「F」の名称が示すとおり、フェード弾道を打ちやすいモデルとして位置づけられています。

今シーズン、谷原は自身の調子やコースによって2つのドライバーを使い分けているそうです。「ANAオープンゴルフトーナメント」では使用しませんでしたが、もうひとつの控えのドライバーとなっているのが、「RS プロトタイプ ワンクローバー」というモデル。こちらは数量限定のカスタムオーダー品となっていて、プロギアによると「RS ドライバー」と「RS F ドライバー」の中間にあたる重心設計になっているとのこと。
実際に打ってみると、「RS F ドライバー」と「RS プロトタイプ ワンクローバー」にはどんな違いがあるのでしょうか。弾道計測しながら試打検証してみました。
超・低スピンのパワーフェードを打ちやすい「RS F ドライバー」

試打クラブの「RS F ドライバー」はロフト9.5度、「RS プロトタイプ ワンクローバー」はワンロフト設定でロフト10度。どちらのモデルもヘッド脱着式なので、シャフトはプロギアの標準仕様「Tour AD FOR PRGR」を装着し、ヘッド特性だけを検証していきました。
まず2つのモデルを構え比べてみると、印象的なのが「RS F ドライバー」のオープンフェースの度合い。カタログ値でもフェースアングルはマイナス5度となっていて、ソールするとフェース面がかなり右を向きます。アドレス時から“絶対にボールを左には飛ばさせないようなオーラ”が「RS F ドライバー」にはあります。スライサーなら構えた時点で悲鳴を上げそうなモデルですが、ロフト9.5度でもロフトは見えやすく、球が上がってくれそうな雰囲気も持ち合わせています。
それに対して「RS プロトタイプ ワンクローバー」は、ソールするとフェース面が素直にターゲットを向きます。こちらもカタログ値だとフェースアングルはマイナス3.5度となっていますが、一般的にドライバーの場合、これぐらいのフェース角だとスクエアに見えやすいです。かくいう筆者にも、ちょうどいいフェースアングルに感じました。
さっそく「RS F ドライバー」を打ってみると、モデル名どおりにフェード弾道が出ました。真っすぐに打つようにスイングしても、ストレートに飛び出してから右に曲がっていく弾道になります。特筆すべきは、インパクトでフェース開き気味になっていても、スピン量がかなり少ないこと。普段から弾道が高めの著者が打っても、スピン量は2000回転を下回りました。吹け上がらないパワーフェード弾道を打ちやすいのが「RS F ドライバー」のいちばんの特長です。
「RS プロトタイプ ワンクローバー」に持ち替えて打ってみると、同じようにスイングしてもストレートな弾道になり、スピン量は2300回転前後。安定して飛ばせそうな強弾道になりました。平均値をとってみたところ、著者の場合は約300回転ほど「RS F ドライバー」よりもスピン量が多くなりました。
ドローも打ちたいなら「RS プロトタイプ ワンクローバー」がオススメ

間違いなく、「RS F ドライバー」はパワーフェーダー向けのモデルです。球をしっかりとつかまえるスキルがないと右に飛ばしてしまうし、ある程度のヘッドスピードがないと、球が上がりきらずにドロップしてしまいます。著者がロフト9.5度でドロー弾道を打つと、見事なぐらいにドロップしました。そのぐらい低スピン性能に長けたモデルです。
数量限定で発売されているモデルは、通常販売品よりもハードめの性能になることが多いのですが、最新RSシリーズの場合は違います。「RS プロトタイプ ワンクローバー」は「RS F ドライバー」よりも球をつかまえやすく、スイング中のヘッド挙動もニュートラル。スピン量も適度に抑えられている印象で、ドローを打ってもドロップする心配がありません。スピン量が少なくなりがちなドローヒッターが安定して飛ばすなら、「RS プロトタイプ ワンクローバー」のほうが良さそうです。
谷原が「RS F ドライバー」に“ジャストマッチ”と感じているシャフトは?

現在、谷原はフェードのイメージで打ちやすく、左に飛ぶ心配がない「RS F ドライバー」のヘッド性能を気に入って試合で使っているそうです。ただし、ほんの少しシャフトで球をつかまえたいので、ドバイへの遠征時から「Tour AD CQ 6」フレックスXを使い始め、これがジャストマッチしているとのこと。この組み合わせは、先のアジアンツアーでも好感触を得ていて、その信頼感が「ANAオープンゴルフトーナメント」での勝利にもつながっているようです。
谷原のようなパワーフェードを打ちたい人、フェードのスピン量過多に悩んでいる人は、上記の組み合わせを試してみてはいかがでしょうか? なお、「RS プロトタイプ ワンクローバー」も数量限定品ながら、まだ今なら在庫があるようです。
試打・文/鶴原弘高つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :tsuruhara_hirotaka
鶴原弘高