2019年のルール改正により、グリーン上でもピンを抜かないでパッティングしてもよくなりました。では、ピンを抜くのと挿したままとではどちらが良いのでしょうか。

ピンを抜かない最大の目的はスロープレーの防止

 ルール改正前までグリーン上では、パッティング時にピン(旗竿)を抜いてプレーすることが義務付けられており、そのままカップインしてしまった場合、ホールアウトは認められるものの2罰打が科せられていました。

ルール改正によってピンを抜かなくてもよくなったが「抜く派」と「抜かない派」が存在する 写真:AC
ルール改正によってピンを抜かなくてもよくなったが「抜く派」と「抜かない派」が存在する 写真:AC

 しかし、2019年にルールが改正されピンを抜かなくても良くなり、ペナルティも廃止されました。では、ピンを抜かないでプレーする目的には、どのようなものがあるのでしょうか。レッスンプロの関浩太郎氏は以下のように話します。

「ピンを抜かないことの最大の目的として『スロープレーの防止』が挙げられます。従来はパッティングの際にピンを外してグリーンの外までもっていき、カップインした後にピンを元の位置に戻さなければならず、ムダな時間や動作が多いと問題視されていました」

「しかし、2019年の改正からはその必要がなくなったので、グリーン上の動きが圧倒的にスムーズになりました」

「自分も初めてピンを挿したままプレーした時『こんなにかかる時間が違うんだ』と、とても驚いたのを覚えています。近年、野球のメジャーリーグでも投球までに時間制限が設けられたように、スポーツ界においてもタイムパフォーマンスが重要視されています」

 また、ルール改正の結果「ボールを誤って強く打ってしまったとしてもピンがストッパーとなってカップインしやすくなった」と喜ぶ人がいる一方で、「カップが小さく見えて狙いが定まりにくくなるのでは?」と考える人も現れ「抜く派、抜かない派」の両方が存在します。

ボールが入りやすくなったかどうかは“ケースバイケース”

 結局のところ、ピンを抜くのと抜かないのではどちらがオススメなのでしょうか。関氏は以下のように話します。

ピンが邪魔になってボールを取り出しにくいという指摘もあるようだが… 写真:AC
ピンが邪魔になってボールを取り出しにくいという指摘もあるようだが… 写真:AC

「ピンがあったからこそ運よくカップインすることもあれば、反対になければ入っていたかもしれない弾かれたパットもあると思うので、ボールが入りやすくなったかどうかは『ケースバイケース』ではないでしょうか」

「そもそも『若干入る確率は減りますがプレーファーストのために挿したままやりましょう』なんて理由でルールは絶対変えないと思うので、ピンを抜こうが抜くまいがカップに入る確率はそれほど変わっていないでしょう」

「なかには、ピンを抜くとカップが大きく見えると感じる人もいるかもしれませんが、それはあくまでも個人差です。ムダな動作や時間をかけたくないのであれば、どうせならピンは挿したままでもいいのではと考えます」

 ピンを挿したままの状態とそうでない状態では、カップインのしやすさに大きな違いはないそうですが、別の目線で見れば明確なメリットとデメリットがあります。

 まずメリットとしてはピンを抜き挿しする必要がなくなったので、例えば会社の上司とラウンドする場合、部下が毎ホールで気を遣わなくて済むことが挙げられます。

 また、改正翌年の2020年にはくしくも新型コロナウイルスが流行したことで、感染防止対策としてピンを抜かない人が増えたきっかけになりました。

 デメリットは、従来、後続組は打ち込み防止として、打ち上げホールではグリーン上に前の組がいるかをピンの有無で判断していたので、気付きにくくなったことが考えられます。そのため、カートのモニターに表示される周辺のカート位置を必ず確認する必要ができました。

 さらに、カップインした後にボールを拾い上げようとしてもピンが邪魔となって取り出しづらくなる点も指摘されており、手が大きな人には不向きではないかとも言われています。

 ベテランの中には、現在でも今まで通りピンを外している人もいます。しかし、ゴルフ場の混雑を解消して多くの人がスムーズにプレーできるよう新しいルールも徐々に受け入れた方が良いのかもしれません。

ピーコックブルー