ゴルフ練習場において、昔からある問題があります。「教え魔」の存在です。ゴルフ練習場で毎日のように指導をしているJLPGAティーチングプロの岡本恵氏にその実態を聞いてみました。
撲滅しても新たにわいてきてしまう中高年男性の“教え魔”
突然、知らないおじさんが声をかけてきて、あれやこれやとゴルフの指導をされてしまう。特に女性を中心にこのような“被害”を受けている方が少なくないようです。いわゆる“教え魔”の実態と対処法についてJLPGAティーチングプロの岡本恵プロが語ります。

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ゴルフは技術や経験を積むことで楽しさが増してくるスポーツですが、練習場に足を運ぶたび、ある問題に頭を悩ませている方も多いでしょう。それは“教え魔”の問題です。
ゴルフ練習場での教え魔の問題は新しいものではありません。しかし、悲しいことにこの問題は今もなくなっていません。特に中高年の男性が女性をターゲットにした“教え魔”の存在が目立ちます。ストレートに言います。女性の皆さんは、ほぼ100%そのようなアドバイスを迷惑に感じています。
“教え魔”の被害にあった女性の多くは、不快に思っているのにもかかわらず、「善意でやってくれているのだから」とか、「また会うかもしれない」、または単に「怖くて逆らえない」などという理由で、その場で断ることができなくて困っています。その結果、私のところに悩みを相談しに来る方が後を絶ちません。
男性も“教え魔”の被害に遭うことがあります。その場合はストレートに“教え魔”に対し、「「黙ってろ」とか「あなたには教わリたくない」と口論になることもあります。
“教え魔”の皆さん、求められてもいないのに、教えることはやめましょう。皆さんがどんなにうまくても、それを無理に他人に伝えるのは控えてください。打席での教え合いは安全面からも好ましくないですし、声の問題で周りに迷惑をかけることもあるため、極力控えるべきです。友人同士の間でのアドバイスは許容範囲内ですが、知らない方への指導は、いかなる状況でも控えてください。
“教え魔”に声をかけられた際の適切な対処方法とその重要性
“教え魔”から突然声をかけられた時、一瞬どのように対応すれば良いのか戸惑う方もいるでしょう。無理に会話を続ける必要は一切ありません。私の生徒さんの場合は、「岡本先生に習っています」と言ってもらっていますが、例えば、「ゴルフスクールで習っているので大丈夫です」とか、「教わっている人がいますので」と伝えれば、“教え魔”も他に先生がいるのならと引き下がってくれるかと思います。もし、“教え魔”がしつこく迫ってくる場合は、練習場のフロントやスタッフに相談をして対処をしてもらいましょう。
“教え魔”の問題を本当に解決するためには、被害者となった方が過度に気を使って、その人に笑顔で接するのを控えることも大切です。しっかりとした態度で拒絶の意志を示すことで、次回以降の同様の状況を防ぐことが可能となります。ゴルフの世界には「上手な人が偉い」という考えている方が存在します。しかし、それは単なる勘違いです。ただ技術が高いからといって、他者に勝手に教える権利があるわけではありません。笑顔での対応は、その“教え魔”行動を助長するだけで、次の被害者を生む可能性が高まります。
ゴルフは心の底から楽しむことを最優先とすべきスポーツです。プレーヤーの一人一人が、自分のリズムとペースで、楽しみながらスキルアップすることが重要です。
【解説】岡本恵

JLPGAティーチングプロ。ステップ・アップ・ツアー、アジアンツアーに参戦後、2009年よりティーチングプロとしてゴルフ練習場にて一般ゴルファーを指導。約15年の間に指導したアマチュアゴルファーは1000人以上。マナーやエチケットを守りつつも、楽しくゴルフしていただくのがモットー。現在は名古屋市の竜泉寺ゴルフ場にて指導を行なっている。
e!Golf編集部