ゴルフコンペのシーズン真っ盛りですが、最近は新規にゴルフを始めた人も多く、幹事さんは進行が遅れないよう組み合わせや当日のケアに頭を悩ませることになります。そんな幹事さんにオススメなのが「スクランブルゴルフ」という競技方法です。

初心者がバーディーパットを決める滅多にない場面も

 ゴルフのトップシーズン、各地のゴルフ場でコンペが盛んです。仲間内で行うコンペは回を重ねるごとに盛り上がりますが、一方、どうしてもプレーの進行に影響を及ぼしやすく、他のプレーヤーから迷惑がられてしまうことも……。コンペの幹事さんや参加した先輩ゴルファーは、進行に目配りしたり仲間のプレーをサポートをしたりで、気疲れしてしまうのではないでしょうか。

一人のバーディーはみんなのバーディー! チームとしての一体感が生まれること請け合いです 写真:AC
一人のバーディーはみんなのバーディー! チームとしての一体感が生まれること請け合いです 写真:AC

 そうしたコンペの幹事さんにオススメなのが「スクランブルゴルフ」という競技方法です。名前は本格的競技っぽいですが心配ご無用。スクランブルゴルフはビギナーから上級者までレベルを問わずどんなゴルファーでも参加できて、チームでスコアを競う(2人から4人1組)プレースタイルだからです。

 ルールも一読すると覚えてしまうほど単純です。さっそく4人のチームプレーで行う場合のスクランブルゴルフの基本的なやり方をご説明しましょう。

 まず、各ホールのティーショットは全員が打ちます。そのなかからベストボールを1つだけ選択し、その地点から全員が2打目を打ちます。3打目もベストボールを1つだけ選択し、その地点からまた全員がボールを打つことを繰り返します。

 グリーンに乗っても同じです。ベストボールを1つだけ選択し、その地点から全員がパットをします。ホールアウトするまでこれを続け、チームのスコアを記録して18ホールをプレーするのです。

 そのほか事前に頭に入れておきたいルールや注意点は以下の通り。

・打順は自由に決めることができる。

・ティーショットは1人最低4ホール選択する(1チーム4人の場合)。

・選択しなかったボールは速やかにピックアップする。

・2打目以降は選択したボールをティーペグでマークし、最後の人が打ち終わるまで抜かない。ティーペグから30センチ以内でホールに近づかない箇所で最初と同じライにボールをプレースして打つ。

・グリーン上ではマーカーを用いてボールをマークし、最後の人が打ち終わるまで外さない。マーカーから15センチ以内でホールに近づかない箇所で最初と同じライにボールをプレースして打つ。

・バンカー内のボールを選択したときは1人打つごとに砂をならしてよい。

 ちょっと多いように感じるかもしれませんが、そう心配しなくても一度スクランブルゴルフを経験すれば、これらは流れのなかで覚えられます。

 この競技方法でコンペを行う場合、幹事は事前に参加者全員にこのプレースタイルを採用することを知らせておきましょう。当日は組の代表者を集めてポイントをまとめた紙を配るなどして改めてルールの説明と確認をします。スタート前には各組で集まり、代表者からチーム全員にルールの説明をすればスムーズに運びます。2〜3組程度のコンペなら、幹事は事前にLINEやメールで参加者全員に送って一読してもらい、当日は簡単に確認だけすればいいでしょう。

 スクランブルゴルフの一番のメリットは、チームのメンバー構成にもよりますが、自分一人では出すことができない良いスコアで上がれる可能性が高い点でしょう。谷や林やハードなラフに打ち込んでしまったボールをピックアップすることができるので、悪いライから打つこともつらい大叩きも激減します。初心者でもスムーズに進行でき、落ち着いてゴルフを楽しめます。場合によっては初心者がバーディーパットを決めるという滅多にない場面も演出でき、盛り上がるうえにゴルフをより好きになってもらうことができるでしょう。

 それではあまりにもユルすぎるのでは? と思う人もいるかもしれませんが、先輩ゴルファーがミスをすることもありますし、ティーショットで全員のボールを必ず4回以上選択するというルールが効いてきます。プレーの流れのなかで随所に「フェアウェイをキープしなければ」「自分が寄せなければ」というプレッシャーや責任感が生まれるからです。これをいい緊張感ととらえ、スクランブルゴルフを楽しんでほしいものです。

スクランブル本来のメリットを生かして速く回るには?

 このようなプレースタイルを取り入れた場合、普通のストロークプレーで回るより実際に早く回れるのか、現場の声として赤羽ゴルフ倶楽部(東京都)の松澤淳二支配人に意見を求めました。松澤支配人はかつてトーナメントへの出場経験もあるプロゴルファーです。荒川の河川敷に広がる赤羽ゴルフ倶楽部は“日本のセントアンドリュース”の異名を持ち、できるだけ多くの人にゴルフを楽しんでもらうため、ビジターでも参加できるオープンコンペを毎月約2回コンスタントに開催しています。

「スクランブル方式を取り入れると確かにスコアはよくなりますが、意外と進行が早くならないケースも少なくありません。理由は3つあります。1つ目は、スイングする回数が同じだからです。ベストポジションから打てるとはいえ、同じ箇所から4人全員がボールを打つのはそれなりに時間がかかります」

「2つ目は選択しないボールを拾いに行かなければならないからです。例えば、長いミドルホールの2打目で誰もパーオンさせられず、フェアウェイの左サイドのボールを選択したとします。このとき自分の打ったボールが約40ヤード右の斜面の上まで行っていたらどうでしょう。“横歩き”が増え、結構なロスが生じます」

「3つ目は、チームで作戦を話し合うからです。どのボールを選ぶ? どこを狙う? どっちに曲がる? しだいに相談を越えて構えや打ち方をアドバイスしあったりレッスンしたりするようになると、明らかに進行は遅くなります」

 では、どういうプレーを心がけたらスクランブルゴルフ本来のメリットを生かして速く回ることができるのでしょうか。

「先ほど挙げた3点に気をつけることが大切なのではないでしょうか。1つ目は、ストロークプレーと同じですが各自がルーティンを見直すなどしてプレーファストを心がける。ロングパットは上級者から打つなど打順を工夫するのも有効でしょう。2つ目は、距離のある縦の移動はできるだけ4人でカートに乗って動き、“横歩き”はできるだけ少なくする。特に、リモコンカートの場合、体力のある人はクラブを4〜5本持っていきましょう。3つ目は、自分の頭で考えること。距離やラインなどの状況判断は各プレーヤーが判断し、迷ったときだけ意見を求めるようにすれば毎回の話し合いは少なくなると思います」

「でも、うちの上司、スコアにこだわるタイプだから個人戦じゃないコンペには難色を示しそう」という幹事さんも多いでしょう。

 そんな上司やベテランゴルファーには「各組に要のプレーヤーがいないとうまくいかないので、ぜひ参加していただきたいんです」「課長と同じチームの人は夢の70台を経験できるかもしれませんね」「ビギナーの若手社員にも楽しんでもらいたいんです」などと、プライドをくすぐって口説いてみてはいかがでしょうか。

 コンペの幹事役が回ってきそうな人は、上司を巻き込んで一度スクランブルゴルフを試してみると、プレーで生まれたチームワークが職場でも生きるかもしれません。

野上雅子