近年の猛暑で特に今年は多くのゴルフ場がベント芝グリーンのメンテナンスとコンディション維持に大変な苦労を強いられました。そんな中、2グリーンのゴルフ場では様々な種類の芝を採用しています。そこで「BG」ベントグリーン、「KG」コーライグリーンに続く「TG」ティフトン芝はどうなのか? 実際にプレーしながら特徴などを聞きました。

育成が早く「踏み」や「擦れ」に強いティフトン芝

「寒地型西洋芝」で冬に強く夏に弱いという特徴を持つベント芝は、もともと四季による寒暖差の大きい日本のゴルフ場では維持が難しい種類。特に今年のような酷暑の中では、ベントグリーンの状態がよくないのも仕方がないことです。

日本でメジャーなベント芝(中央)とコーライ芝(右)。今後はティフトン芝(左)を採用するゴルフ場が増えるかもしれない
日本でメジャーなベント芝(中央)とコーライ芝(右)。今後はティフトン芝(左)を採用するゴルフ場が増えるかもしれない

 そんな中、2グリーン体制のゴルフ場では、夏場に強い「暖地型芝」であるコーライグリーンに代わり、「暖地型西洋芝」であるバミューダをグリーンに採用するところも出てきています。

 日本のゴルファーにはなじみがあまりないバミューダ芝ですが、主にサッカー場で採用されている「ティフトン」はバミューダ芝を交雑品種改良した品種。

 ティフトンはコーライの約20倍ともいわれる生育の早さが大きな特長。また踏みつけと擦り切りに強いので、サッカー場では人気が高く多くの施設が採用しています。

日本でもまだ少ないティフトン芝を採用したグリーン
日本でもまだ少ないティフトン芝を採用したグリーン

 先日、ティフトン芝のグリーンでプレーする機会がありましたが、フェアウェイでは非常に難しくなるティフトン芝ですが、グリーンでは非常に楽しめました。

 もしかしたら今後の真夏の気候を考えると、スピードが遅くなりがちで芝目が強いコーライ芝から、暑さに強くてスピードも出しやすいティフトン芝をグリーンに採用するゴルフ場も出てくるかもしれません。

コーライ並みの「硬さ」とベント並みの「速さ」も可能!?

 バミューダ芝の品種改良によって生まれたティフトンは、フェアウェイやラフではボールが沈むため、プロや上級者でも非常にショットが難しくなる芝として有名。

 ゴルファーにとっては厄介かもしれませんが、グリーンに使用する芝としては夏場でも元気に育成し葉も細く短く刈り込めるため、コーライ芝よりも速いスピードのグリーンを作りやすくなるようです。

コーライ芝に比べ葉が細く短く刈り込めるティフトン芝は、ベント芝並みにスピードが速いグリーンにできる
コーライ芝に比べ葉が細く短く刈り込めるティフトン芝は、ベント芝並みにスピードが速いグリーンにできる

 ティフトングリーン(TG)を実際にプレーしてみましたが、着弾時に深いピッチマークができるほど土壌が柔らかくないため、グリーンフォークでの修復が苦手なビギナーが多いゴルフ場でもメンテナンスしやすそうです。

 ショットでも、低い弾道ではファーストバウンドでボールの勢いが衰えない硬めのコンパクションになるようでした。コーライ芝の小さなグリーンを攻めるようなショット&戦略が必要なケースが多くありました。

 一方パッティング時は、ベント芝のように刈り高によってスピードが変えやすく意外と速い転がり方だと感じました。そのわりに、距離感ピッタリで打つとコーライ芝のような「キュッと曲がる&止まる」という特徴も持ち合わせていました。

 ティフトン芝のグリーンは「ちょっと難しいけどすごく面白い」のが特徴ですね。

様々な芝を一年中よい状態で保つ「コース管理」のすごさ

 お金を払ってラウンドするゴルファーとしては、「真夏のラウンドだってキレイで速いグリーンでのプレー」が理想ですが、近年の亜熱帯的な日本の異常気象の中では夢のような都合のよい芝はないのが現実。

近年の異常気象による影響を最小限にとどめながら、様々な芝のコンディション整えている日本のゴルフ場。コース管理にはゴルファーとして感謝するべき
近年の異常気象による影響を最小限にとどめながら、様々な芝のコンディション整えている日本のゴルフ場。コース管理にはゴルファーとして感謝するべき

 今回取り上げたティフトン芝や品種改良前のバミューダ芝も、「暖地型」なため冬場には茶色く枯れ休眠してしまいます。また早い生育ゆえ芝刈りをこまめに行う必要も生じ、コース管理の負担増も想像できます。

 大きく変化した気候の中で大幅な値上げもせず、気持ちよくプレーできるクオリティーを保ってくれる「コース管理」のみなさんには感謝しかないです。

 どんな芝の種類がいいのか? 1グリーンと2グリーンはどちらがベストなのか? など今後も議論が続くと思いますが、まずは現場で働く人に感謝しながらラウンドを楽しみたいと思います。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール