ゴルファー個々で異なる、マナーに対する「不快の境界線」。特に渋滞しているゴルフ場では「自分の基準」を前後の組に押し付ける迷惑ゴルファーも多いとか。実際にあった出来事を中心に、自分も他のゴルファーも不快にならない渋滞時のマナーについて話を聞きました。

カート接近待機ゴルファーに多い「無自覚な大声」

 初めてのコース、特に渋滞している時の前後組に対するマナーは難しいものです。ホール間のインターバルを抜けて次のホールに来た途端、ちょうどティーショットを打つタイミングの前組に接近しすぎたり、カートナビから大きな音でアナウンスが流れてしまったり……。

 自分では予防しようがないのに迷惑をかけてしまう時もあります。「お互いさま」精神があればよいのですが、二度と合わないとはいえ前後組のゴルファーが紳士淑女ばかりでないのも事実です。

スタートホールから前の組に接近する迷惑ゴルファーの中には、これから打つ人の真後ろにカート待機する人もいる
スタートホールから前の組に接近する迷惑ゴルファーの中には、これから打つ人の真後ろにカート待機する人もいる

 カートナビからの音声は不可抗力とはいえ、事前に「音」だけは注意しておけば迷惑ゴルファーの烙印を押されずに済むはずです。

 しかし残念ながら、中には「自分の基準」を他人に押し付けるゴルファーもいらっしゃいます。前組のすぐ後ろにカートを接近させて、ビックリするほど大きな声でショットする時までおしゃべりするベテランゴルファーに遭遇したこともあります。

 こんな人たちに限って、自分たちが少しでも迷惑を感じるとゴルフ場にクレームを入れるんだろうな、と想像してしまいました。

大型コンペへの参加はマナー向上にも効果大

 いつも同じ知り合いでばかりラウンドしていると、なかなか前後組に対する気遣いは生まれないのかも知れません。大型コンペに参加しているゴルファーを見ていると、初めての組み合わせでも自分の価値観や基準を押しつけず、全体のプレー進行がスムーズになるようにプレーしているようです。

大型コンペでは、自分の基準を押しつけることなく全体のプレーに対する気遣いが生まれやすい
大型コンペでは、自分の基準を押しつけることなく全体のプレーに対する気遣いが生まれやすい

 同伴競技者に「自分のプレーやマナーが悪いと思われたくない」だけかも知れませんが、「いつものメンバー」以外とのプレーはマナー向上に効果があると感じます。

 また、「若いビギナーはマナーがヒドい」と感じたり話を聞いたりすることは少ないです。

 明らかなビギナーが進行を考慮して後ろの組をパスしたり、スロープレーを防ぐためホールアウトせずに次のホールに向かう姿を何度か目にしたことがあります。

 現代ビギナーの多くは、ラウンド前にプレー進行マナーに対する情報をしっかりと得ている可能性も感じました。腕前やスイングはすぐに上達しませんが、前後組に対するプレー進行マナーは実践できます。

 むしろホールアウトやスコアメイクに固執しすぎた人ほど、スロープレーに注意した方がいいかも知れません。

スタート前の練習グリーンから「人間模様」は始まっている

 ゴルフ場ではスタート前の練習場や練習グリーンで、二度と会わない他人同士の「人間模様」が始まっている気がします。

 限られたカップに多くのゴルファーが集まり、自分と他人のボールを取り違えてみたり、ライン上に人やボールが横切って不愉快な顔になったり……。

スタート前の練習グリーンでは、無言の中にもゴルファー同士の駆け引きがある
スタート前の練習グリーンでは、無言の中にもゴルファー同士の駆け引きがある

 練習グリーンや練習場では「無言」の人が多い気がしますが、その反動なのかプレー中は隣のホールまで聞こえるほど大きな声でおしゃべりするゴルファーも多く見かけます。

 何がダメで何がいいのかをハッキリと決められないのがラウンド時のマナーであり「不快の境界線」です。しかし、自分がされて不快なことだけでなく「もしかしたら不快かも?」と思われる、大声や音ぐらいは注意してもいいのではないでしょうか。

 明確な正解がないという点では、スイングやスコアメイクと同様で難しいことかも知れません。ビギナーでも実践できている人はたくさんいるので、ゴルフ歴にあぐらをかいて自分勝手なマナーをしている人ほど、改めて前後組に対するマナーを心掛けてほしいものです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール