ゴルフは大人になってから始める人が圧倒的に多いスポーツです。しかし、指導者の多くはジュニア時代からゴルフしていた人が多く、生徒との間に感覚のギャップができがちです。

「正しくスイングすれば当たります」ができない!

 ゴルフは大人になってから始める人が圧倒的に多いスポーツです。にもかかわらず、ゴルフ指導者はジュニアから始めた人がほとんどです。ゴルフ指導者と話をしていると、両者の間に大きな溝があると感じることがあります。

 大人になってからゴルフを始めた人は、プロゴルファーと同じようにクラブを握り、同じように振っているつもりでも、フェースにボールが当たりません。

生徒とコーチの間に感覚の違いがあると、上達のスピードは格段に落ちる 写真:AC
生徒とコーチの間に感覚の違いがあると、上達のスピードは格段に落ちる 写真:AC

 その理由はプロゴルファーと同じようなグリップやスイングができていないからです。しかし、本人はできているつもりなので、どうしてボールに当たらないか分かりません。そうすると「ボールに当てるにはどうすればいいのだろう」と考え始めます。

 ゴルフ指導者たちは、この考え方がそもそも間違っていると指摘します。「ゴルフボールは止まっているので、正しくクラブを握ってフェースをボールに合わせ、正しくスイングすれば当たります」と力説します。

 彼らは「ボールに当たらない」という人の気持ちが根本的に理解できていません。

「当たりが薄い」とか「つかまりが悪い」といった「当たることを前提とした議論」には積極的に参加しますが、「フェースに当たらない」という悩みに対しては、「アドレスかグリップのどちらかが間違っている」と一刀両断します。

ドライバーが難しいアマとパッティングが難しいプロ

 得意クラブと苦手クラブの話をするときも、大人になってからゴルフを始めた人とジュニアから始めた人は意見が真っ二つに分かれます。

 大人になってからゴルフを始めた人はドライバーが苦手です。ドライバーはシャフトが一番長く、ボールと目の距離が離れます。また、ティーアップが高いので他のクラブとスイングの感覚が変わります。これらの理由により、最も曲がり幅が大きくてOBの危険性が高いクラブになります。

ジュニアから始めた人はクラブの使い方のコツを体得していることが多い 写真:AC
ジュニアから始めた人はクラブの使い方のコツを体得していることが多い 写真:AC

 ゴルフ指導者にとってドライバーはそんなに難しいクラブではありません。なぜならばターゲットが一番広いからです。

 ドライバーはフェアウェイを狙って打ちますが、左のラフに飛んでも、右のラフに飛んでも、次打でグリーンを狙えれば問題ありません。会心の当たりが出なくてもパーオンが狙える位置にボールがあればいいので、気軽にスイングできるといいます。

 アマチュアは右にOBがあれば気になりますし、左に林があればそちらも気になります。右のOBと左の林の間には広大なフェアウェイが広がっているのですが、その幅にボールが飛ぶ自信がありません。

 ドライバーもショートアイアンもスイング自体は変わらないとよくいわれるのですが、ショートアイアンのようにスイングしたつもりでもドライバーだとビックリするほどボールが曲がります。

 そのショットを見てゴルフ指導者は「前に飛ばそうとして体が突っ込んでいる」とか「自分の動きでボールを上げようとしている」と指摘するのですが、自分ではそんな動きをしているつもりはありません。

「やっぱりショートアイアンのスイングとドライバーのスイングは違うんだな」と思い知らされるだけです。

 一方、ゴルフ指導者はパターが苦手という人が多いです。特にティーチングで生計を立てている人は、ショットは他の選手にヒケを取らないのに、パッティングの勝負強さに限界を感じてツアーを諦めています。

 アマチュアはパットを外しても優勝を逃したり賞金が減ったりするわけではありませんから、ロングパットもショートパットも気軽に打てます。苦手意識はそれほどありません。そもそもパットはそんなに練習していませんから、入るか入らないかは日替わりです。

 結局のところ、大人になってからゴルフを始めた人とジュニアから始めた人はクラブの使い方のコツを体得しているかどうかの決定的な違いがあります。

 大人になってからゴルフを始めた人は、どうしても手(腕)の力でクラブを振ろうとします。その力を使わずにクラブを振るコツを教えることが、ゴルフ指導の最重要テーマなのでしょう。

保井友秀