「レッスンでスキルアップ」を考えるゴルファーも多いオフシーズン。自らも25年以上に渡ってプロを教える伝説のプロコーチに師事した経歴と、8万人以上にアドバイス経験を持つ筒康博コーチに、「よいコーチ」と「悪いコーチ」の見分け方や選び方について語ってもらいました。

昭和時代の教え方だとすぐにクレームが来てしまう!?

 アマチュアに限らず、ゴルフは何の努力もせずに上達はできないものです。メジャー18勝を誇る「帝王」ジャック・ニクラス選手が若い頃、師匠のジャック・グラウト氏に髪の毛をつかまれたままショット練習を繰り返し「不動の軸」を得たという逸話や、若い頃のタイガー・ウッズ選手が「大嫌いなドリル」をコーチのブッチ・ハーモン氏に課されたことでスイングの基礎を作った話などがあります。

 もちろん歴史に残る天才は「努力の達人」でもあったことは事実だと思います。

「教わる側」のゴルファーにとって「よいコーチと悪いコーチ」とはどんな人のことで、見分け方はあるのか?
「教わる側」のゴルファーにとって「よいコーチと悪いコーチ」とはどんな人のことで、見分け方はあるのか?

 現代においてアマチュアレッスンで「髪をつかんだり」「嫌なドリル」を課したら、間違いなくクレームにつながってしまいます。

 事実、「三流のコーチングは手取り足取り教えるが、一流は余計なレッスンを行わないもの」という考え方も、現代のコーチング論には存在しています。

 ゴルフは趣味の一つとはいえ、「うまくなるなら」コーチングを受けたいと思っているアマチュアはたくさんいます。今回は僕自身がプロを教えるコーチに師事した経験とアマチュアのレッスンをしてきた経験を通じて、「教わる側」目線での「よいコーチと悪いコーチ」の見分け方や選び方の話をしたいと思います。

生徒と目標やモチベーションを共有できないと「悪いコーチ」になる

「教わる側」として25年以上師事した経験からいうと、いくら「教える側」が超一流だとしても「教わる側」とモチベーションや目標を共有できていないと、結局は頭でっかちに終わってしまったり、途中で目標を失ったりしてしまいます。

 そうなると、レッスンの効果を実感しないまま自己流に戻ってしまう可能性が高くなるでしょう。

どんなによいレッスンやドリルでも、コーチとゴルファーが「同じ目的」を共有できないと意味や効果も変わってしまう
どんなによいレッスンやドリルでも、コーチとゴルファーが「同じ目的」を共有できないと意味や効果も変わってしまう

 僕の場合、スイングやコーチングそのものを勉強したくて師事していましたが、いざ「自分が上達する」となると別次元の問題がたくさんあり非常に苦労しました。才能やセンスのない「自分」をレッスンすることが一番難しいと今でも感じているからです。

 アマチュアの場合、具体的な目的がある人が多いはず。「100切り」や「ベスト更新」、「飛距離アップ」や「キレイなスイング」などのリクエストがレッスンの現場では多く聞かれます。

 そこで「何をすればいいのか?」という話になるのですが、「結局教えてくれることが同じ」に感じることがあります。教わる側であるアマチュアと「目標」や「モチベーション」を共有したうえで理解できる言葉で伝えてくれないと、教わる側には「悪いコーチ」としか感じられないでしょう。

よいコーチはワガママなリクエストや気持ちの変化に付き合ってくれる

 アマチュアのみなさんは、仕事や家庭の時間を優先しながら「ゴルフの時間」を捻出しています。

 プロに対してなら「稼げないぞ!」で終わりかも知れませんが、限られた練習時間しかないアマチュアのレッスンで「これやらなきゃうまくならないぞ!」なんていえません。

大事な「時間」と「お金」を使ってゴルフに取り組んでいるアマチュアの「ワガママ」や「気持ちの変化」にも、よいコーチなら付き合ってくれる
大事な「時間」と「お金」を使ってゴルフに取り組んでいるアマチュアの「ワガママ」や「気持ちの変化」にも、よいコーチなら付き合ってくれる

 過去には僕も遠方から来た生徒さんに「できるようにならないとクラブチャンピオンになれない!」といって、しつこくスイングチェックしていたことがありました。運よく生徒さんとモチベーションの共有ができていたので、結果としてスイングや成績がよくなりましたが、同じことをしても練習が飽きてしまう人だっています。

「3カ月で100切り」と目標を共有しても、月に2時間しか練習に気持ちが向かわないこともあるのがアマチュアです。

 最初は「スコアメイク優先」といっていたのに、「とにかく飛ばしたい」や「キレイなフィニッシュにしたい」など、リクエストが変わってしまう人もたくさんいます。

「師匠と弟子」ではない以上、ゴルファーが飽きっぽくても気持ちがコロコロ変わっても付き合ってくれないと「悪いコーチ」だと感じてしまうでしょう。

 コーチとしての実績や認知度だけで満足してくれれば話は簡単ですが、「教わる側」はお金と時間を浪費しているので、「理解」と「実践」に努力を惜しまず勉強し続けるコーチと巡り合って欲しいと思います。

「三年勤め学ばんより三年師を選ぶべし」ということわざがありますが、3年経っても「進歩なし」だったら誰でもガッカリするはずです。

 もし通っているレッスンの良し悪しが見分けられなくても、結果が出なければ別のコーチの「体験レッスン」に行くなど、セカンドオピニオンするべきだと思います。

 みなさんがどんなにクラブの相談やレッスンで浮気をしても、教わっているのが「よいコーチ」なら、結局は元サヤに戻ってくるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール