ゴルファー同士の価値観や常識は、まるで異国文化のように違います。あなたにとって「よかれ」な行動でも他のゴルファーにとっては「非常識」な場合も。決して悪気はないのに相手は迷惑に感じる「隠れハラスメント」。どのように注意するべきでしょうか。

「ありがたい」と「迷惑」は紙一重、過剰なアドバイスや実況解説

 年配者は仕事がらみでゴルフを始めた人が多い一方、セルフプレー主流のコロナ禍以降に始めた若い人もいます。ゴルフを始めた環境や上達の過程が全く異なる人同士がラウンドすると、本人にとっては「悪気がない」行動でも相手にとって迷惑になる「隠れハラスメント」になる場合があります。

「そこまで考えるのは面倒くさい」と思っても、ゴルファー同士の理解が深まれば人間関係や社会性も快適になります。

相手に悪気がないと分かっていても、「隠れハラスメント」に気付いたらガマンすべき? それとも注意すべき?
相手に悪気がないと分かっていても、「隠れハラスメント」に気付いたらガマンすべき? それとも注意すべき?

 ゴルフのマナーには競技でのルールのように決まった答えがあるワケではありませんが、最低限守っておきたいことはあります。それは「事故」や「ケガ」がなく、安全にプレーを終えることです。

 当たり前のことですが、まず「危ないことをしない」という大前提からマナーを考えれば、「プレーヤーの近くに立たない」「止めたカートより後ろに戻らない」「いきなり隣のホールでボール探しをしない」といったマナーは自分で判断できるようになるはずです。

 例えば同じ組のビギナーに「教えて」といわれ、ついついアドバイスや解説が過剰になってしまうベテランの行動でも、相手が不快に思う前に一歩引く勇気があれば「隠れハラスメント」にはなりません。

 レストランで食事をしていて「ちょっと味が薄いかも」という声を聞いた途端、すぐに塩やしょう油を渡してしまう人も「そこまで頼んでないのに」と思われている可能性もあるのです。

「自分は嫌じゃない」はハラスメントの温床

 普段の生活と異なり、なぜかラウンド中だけは「耳」と「目」が過剰に敏感になってしまうのがゴルファーの性。

「そんな事まで気にするの?」と感じても、いざ自分が同じ状況になると嫌なこともたくさんあります。

自分で自覚していなくても、相手にとっては物すごく気になる迷惑な行動もある
自分で自覚していなくても、相手にとっては物すごく気になる迷惑な行動もある

 前の組に追いついて待っている時、自分では小声で話しているつもりでも、声が想像以上に届いてしまい「スイングする時に限ってうるさい」と相手が感じてしまう可能性もあります。

 スイング時の「たった2秒」何もせず待つだけでいいのに、そんな時に限ってカートでクラブの入れ替えをして音を立ててしまい、ミスショットを誘発させることもあります。

 お互いに悪気はないのですが「自分は嫌じゃない」と感じる場合でも、迷惑になりそうなことは控えておく勇気を持つだけで、プレーは一気に快適になるものです。

「相手の気持ちに立つ」だけじゃ足りない場合もある

 結局、何がいいたいのかといえば、様々な年代のゴルファーが交わるゴルフ場でのマナーは日々変化しています。それに伴い、ゴルファーも「アップデート」が必要だということです。

 例えば、昔は常識だった「キャディさんにチップ」や「とにかく年上のショットにはナイスショットの掛け声を」といったマナーも、現代ゴルファーには「?」でしかありません。

新旧ゴルファーが交わるゴルフ場のラウンドマナーは変化するもの
新旧ゴルファーが交わるゴルフ場のラウンドマナーは変化するもの

 ここまで極端ではないにしろ、自分が始めたころのマナーや常識が少しずつ変わっている事実を知っておくべきです。

 5分間だったボール探しの時間は、2019年のルール改正後「3分間」に変わりました。昔から「球探しに時間がかかる」といわれていましたが、さらに厳しくなっています。もともと制限時間いっぱい探していた人も、「周辺をパッと見てボールがないならロスト」ぐらいの気持ちを持った方がいいでしょう。

「ワングリップOK」のプライベートルールや「ピッチマークの修復」というマナーも、コースが渋滞して後続組見られているなら「うまく対応する」ことで不要なトラブルにならないかも知れません。

 マナーや人間関係が面倒くさいから「一人ラウンド」が多いゴルファーも、おひとり様同士が組になってしまえば結局は同じこと。コースを貸し切ってしまえば話は別ですが、ゴルファー同士の気遣いがあれば「隠れハラスメント」はなくなり快適にラウンドできるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール