人気低迷が叫ばれて久しい国内男子ツアーですが、中島啓太や蝉川泰果、久常涼などスター候補は続々と登場しています。しかし、ゴルフをあまり知らない人が知っているのは、10年前から石川遼と松山英樹の2人という状態はなかなか変わっていません。そこで、改めて男子ツアーの人気回復への道のりについて考えてみました。

男子は賞金ランキング上位選手でさえほとんど知られていない

 2024年に入ってから何人かのゴルファーとゴルフ談議をしましたが、ゴルフ業界に近い人と話をすると必ず出る話題が「どうすれば男子ゴルフの人気が回復するのか」です。

 1月2日にテレビ朝日で放送された年始特番「夢対決2024とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」のゴルフ対決に出演したプロゴルファーは山下美夢有選手、岩井明愛選手、小祝さくら選手、岩井千怜選手、原英莉花選手、渋野日向子選手の6人でした。男子プロは1人も出演しませんでした。

男子ゴルファーは石川遼しか知らないという人は多い 写真:JGTOimages
男子ゴルファーは石川遼しか知らないという人は多い 写真:JGTOimages

 2024年の男子ツアースケジュールも前年比3試合減の23試合と非常に寂しい状況になっています。しかも賞金ランキング1位の中島啓太選手と3位の金谷拓実選手は主戦場をDPツアー(欧州男子ツアー)に移すことを表明しています。

 個人的な印象としては「男子ゴルフ界にも将来楽しみな選手が何人か出てきたな」と感じています。中島選手はPGAツアー(米国男子ツアー)のQスクールファイナルステージ(最終予選会)は残念ながら通過できませんでしたが、DPツアーで優勝を狙える力を持っているのではないかと活躍を期待しています。

 賞金ランキング2位の蝉川泰果選手も近い将来、世界で戦ってくれる選手になるでしょうし、3位の金谷選手もDPツアーで勝利を挙げてPGAツアーの舞台へと駆け上がってほしいです。

 2023年9月のDPツアー「カズー・オープン・ド・フランス」で初優勝を挙げ、PGAツアーの出場権を勝ち取った久常涼選手は、PGAツアーでも勝利を手にしてくれることを願っています。

 しかしながら、中島選手も蝉川選手も金谷選手も久常選手もゴルフをしない人にはまったく知られていません。ゴルフをする人でもプロの試合をほとんど見ていないと「誰それ?」という状況です。

 結局のところ、男子プロゴルファーで誰もが知っている選手は石川遼選手と松山英樹選手の2人だけという状況がもう10年以上続いているのです。

PGAツアーで新しい選手が優勝すれば人気回復のきっかけになるかも

 近年の男子ツアーは毎年のようにアマチュア優勝者が誕生していました。

2019年11月「三井住友VISA太平洋マスターズ」金谷選手2021年9月「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」中島選手2022年9月「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」蝉川選手2022年10月「日本オープンゴルフ選手権競技」蝉川選手2023年11月「ダンロップフェニックストーナメント」杉浦悠太選手

 いずれも素晴らしい快挙ですが、これだけ頻繁にアマチュア選手が勝つと、ゴルフをしない人たちからすると「男子ツアーはアマチュアの子が次々と勝つんだね」という印象しか残らず、アマチュアの子が誰かというところまで記憶されていないのです。

久常涼がPGAツアーで松山英樹並み活躍をすれば人気は回復するかも 写真:Getty Images
久常涼がPGAツアーで松山英樹並み活躍をすれば人気は回復するかも 写真:Getty Images

 そしてDPツアーで久常選手が優勝したこともほとんど知られていない状況を鑑みると、結局のところPGAツアーで優勝しないとゴルフをしない人には名前を覚えてもらえないということになります。

 日本人選手のPGAツアー歴代優勝は以下のとおりです。

青木功選手(1983年2月「ハワイアンオープン」)丸山茂樹選手(2001年7月「グレーター・ミルウォーキー・オープン」)丸山茂樹選手(2002年5月「ベライゾン・バイロン・ネルソン・クラシック」)丸山茂樹選手(2003年10月「クライスラー・クラシック・オブ・グリーンズボロ」)今田竜二選手(2008年5月「AT&Tクラシック」)松山英樹選手(2014年6月「ザ・メモリアルトーナメント」)松山英樹選手(2016年2月「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」)松山英樹選手(2016年10月「WGC-HSBCチャンピオンズ」)、松山英樹選手(2017年2月「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」)松山英樹選手(2017年8月「WGC-ブリヂストンインビテーショナル」)小平智選手(2018年4月「RBCヘリテージ」)松山英樹選手(2021年4月「マスターズ」)松山英樹選手(2021年10月「ZOZO CHAMPIONSHIP」)松山英樹選手(2022年1月「ソニーオープン・イン・ハワイ」)

 この中で最年少優勝は松山選手の22歳です。21歳でPGAツアーに参戦する久常選手はこの記録を更新する可能性があります。

 松山選手は2014年1月からPGAツアーに本格参戦し、2014年6月に初勝利を挙げました。久常選手がそれと同じくらいの勢いで初優勝を手にすることができれば、女子ゴルフ一辺倒だったプロゴルフ界の潮目が変わるきっかけになるかもしれません。

保井友秀