ビギナーだったころの気持ちや苦悩を、ベテランゴルファーたちは一体どれぐらい覚えているのでしょうか。苦労して手に入れた経験や知識をビギナーに押しつけ、嫌がられ敬遠されていませんか。若いゴルファーから「ベテラン」として「見習うべき所」「ダメな所」どちらが参考になっているのでしょうか。

「ベテラン=老害」といわれないために必要なこととは?

 始めたころの夢中だった時期を経て、今はゴルフを楽しく感じられている人の多くは、周りから見れば「ベテラン」と見られているかも知れません。

 本人は腕前に自信がなくても、「ゴルフ歴」や「年齢」だけで人は勝手にベテランのラベリングをするものです。

 今も昔もなくならない「教え魔ゴルファー」は、自分のゴルフ歴や平均スコアを語らずに、自分の価値観だけで「プロはこうやってスイングしている」「もっと〇〇しないと」と頼みもしないことを押しつけて来ます。

腕前やスイングに自信がなくても「ゴルフ歴」が長ければベテランの自覚と所作が必要
腕前やスイングに自信がなくても「ゴルフ歴」が長ければベテランの自覚と所作が必要

 ビギナーにとっては「老害」でしかない迷惑行為を自分も経験したはずなのですが、ゴルフを楽しめる「ベテラン」になるほど忘れてしまう傾向があるようです。

 自分の時間とお金を使う「趣味ゴルフ」である以上、他人からの承認欲求やハラスメントを受ける筋合いはありません。ラウンド時の「スロープレー」や「マナー違反」はもちろん、相手が嫌がる「老害」行為もベテランが行ってはいけないことです。

 しかし、多くのベテランは迷惑行為を「無自覚」で行っているのも事実です。

ビギナーが知りたいのは「成功体験」よりも「失敗談」

 ネットコンテンツや雑誌のレッスンには「こうやって飛ばす」「こうすればうまくなる」はあっても、「誰でもやらかす失敗談」を目にすることは少ないです。

 ベテランゴルファーの一番の強みは、たくさんの「失敗経験」があること。自らが承認欲求を出さず「始めたころはスライスがヒドくて」や「スイングって勘違いばっかりだよね」など、自分の失敗談を明るく話せるようになれば、周りに多くの人が集まるはずです

情報収集している若いゴルファーには、ベテランの「成功体験」よりも「失敗談」の方が参考になる
情報収集している若いゴルファーには、ベテランの「成功体験」よりも「失敗談」の方が参考になる

 情報収集を行っているビギナーにとって、スイングやプレーに対する「正解と不正解」の判定を行う審査員や評論家のようなベテランの話は参考にならないそうです。

 明確な正解がないうえに、個々で価値観が異なるスコアメイクやマナーに関しては、ベテランが直接教えるよりも、「背中で見せる」方が参考になるといいます。

「先輩だから教える」という昭和の常識を現代ゴルファーに当てはめないほうが、お互いのためにもいいのかも知れません。

「与える余裕」あるベテランは認められるために行動しない

 ベテランゴルファーが若いゴルファーに比べて所有しているのが、クラブと車です。

「認められるため」に行うとありがた迷惑ですが、「もしよかったら使う?」くらいの余裕でクラブを渡したり、乗り合いを勧めてくれるベテランは周りから慕われています。

「なぜ、わざわざそんなことをする必要が」と感じるなら、自分の価値観でゴルフを楽しめばいいだけです。

使わなくなったクラブや車の手配なども「もしよかったら使う?」と恩着せがましくない態度であれば、若いゴルファーも楽しくゴルフを続けられる
使わなくなったクラブや車の手配なども「もしよかったら使う?」と恩着せがましくない態度であれば、若いゴルファーも楽しくゴルフを続けられる

 しかし、会社の後輩などにもっとゴルフを楽しんで欲しいと思うなら、彼らにとって「便利な先輩ゴルファー」になることが、お互いにとって幸せではないでしょうか。

 誰でもビギナーのころは、スイングやマナーはもちろんクラブや車など「金銭的な悩み」もあったはずです。そのころは、ゴルフを好きになるようにサポートをしてくれた先輩ゴルファーが少なからずいたのではないでしょうか。

 彼らは無理に技術やマナーを押しつけず、率先して「快適に楽しむ姿」を見せてくれたはず。なかには悪い所ばかり見せる「反面教師」もいたと思いますが、それも参考になったはずです。

 印象に残っているベテランゴルファーたちは、決して「認められるため」に行動していなかったことを思い出してください。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール