PGAツアーの解説も務めるゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎氏が、ツアーの第一線で活躍する選手のプレーを独自の視点で分析。今回はローリー・マキロイ選手が「トゥルーイスト選手権」初日の2番で放った“ビッグドライブ”に注目しました。

ビッグドライブの秘密は“地面反力”

 PGAツアーの公式Xにローリー・マキロイ選手が放った“366ヤード”のティーショットが公開されています。この一打が撮影されたのは、5月8日から11日まで開催されていた「トゥルーイスト選手権」の大会初日、381ヤードの2番ホール(パー4)です。

 フェアウェイに着弾したボールは勢いよく転がり続け、ボールが止まったのは前の組がまだプレーをしているグリーンの左サイド。最後はグリーン手前の傾斜に嫌われましたが、ボールの転がり次第では1オンの可能性もあった“ビッグドライブ”でした。

「トゥルーイスト選手権」初日のローリー・マキロイ 写真:Getty Images
「トゥルーイスト選手権」初日のローリー・マキロイ 写真:Getty Images

 このホールで最初のバーディーを奪ったマキロイ選手は、初日を「66」の25位タイでホールアウト。2日目以降は「67」「69」「68」でプレーし、トータル10アンダーの7位タイで大会を終えています。

 今シーズン、ここまでのドライビングディスタンスは318.6ヤードで3位。身長が約178センチとツアーの中で決して大柄とはいえないマキロイ選手は、なぜトップクラスの飛距離を誇っているのでしょうか。

 強い筋肉や柔軟性、そしてトレーニングの効果があるのはもちろんですが、今回注目したいのは地面反力。すなわち、地面からの反力を使って効率よくスイングをしている点です。

 地面反力というと、左サイドへの踏み込みや蹴りをイメージする人が多いかもしれません。しかし、強く踏み込んだり地面を蹴るには、そこに至るまでの動作が重要になります。

 具体的には、バックスイングからトップまでの動き。マキロイ選手は始動時に右足で地面に圧をかけ、その反力で少し伸び上がったようなトップの形をつくっています。このトップの形があるからこそ切り返しでスクワットをするように沈み込むことができ、地面を強く蹴って一気に体を回転させることができるわけです。

試す価値アリな“ボール投げドリル”

 効率的に飛ばしたいと考えている人は、まずマキロイ選手のスイング始動を参考にするといいでしょう。

 効果的なのは“ボール投げドリル”です。アドレスに入ったら、自分の右上に左手で勢いよくボールを投げるようにバックスイングをしてください。すると、その反力で体が伸びるトップをつくることができます。

 左腕を振り上げるのは地面と平行になる位置まで。それ以上の高さまで腕を上げると、実際のスイングではオーバースイングになるので注意が必要です。

 始動からトップまでは“右足に体重を乗せて沈み込む”とイメージしていた人は、マキロイ選手の“踏み込んで伸び上がる”バックスイングをマネしてみてください。

 切り返し後の踏み込みがスムーズになり、回転スピードが見違えるくらいアップするはずです。

ローリー・マキロイ

1989年生まれ、北アイルランド出身。2007年にプロ転向し、09年に欧州ツアー初勝利。米ツアーでは10年に初優勝を挙げた。メジャー初Vは11年の「全米オープン」。「全米プロ」を制した12年は世界ランキング1位に浮上し、14年の「全英オープン」も制覇。21-22年シーズンは自身3度目のPGAツアー年間王者に輝く。25年は「マスターズ」を初制覇。史上6人目となるキャリアグランドスラムの偉業を達成した。米ツアー通算29勝(メジャー5勝)、欧州ツアー16勝。

【解説】吉田 洋一郎(よしだ・ひろいちろう)

1978年生まれ、北海道出身。世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回、米国、欧州へ渡り、ゴルフに関する心技体の最新理論の情報収集と研究活動を行っている。欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究している。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。

小澤裕介