ゴルフ場への往復はロングドライブになることもあるので、お気に入りのBGMは欠かせないという人も多いと思います。自律神経の名医で熱心なゴルファーでもある小林弘幸医師が、ナイスプレーにつながるBGMのかけ方を教えます。

運転中に聴く曲でプレーの成否が決まるって本当?

 朝、ゴルフ場に向かう車内で、皆さんはどんなBGMをかけていますか?

お気に入りの曲をゴルフ用のプレイリストにしておくのもいいですね

「クラシックを聴きながら行くと優雅な気分でゆったりプレーできそうです」「ロックを聴くと目が覚めて、朝からショットを飛ばせそうな気になります」

 そういった声も聞きますが、車の運転中に聴く曲は、ゴルフのプレーに影響があるのでしょうか。あるとしたら、どんな曲を聴いたら良いスコアで回れるのか気になりますね。さっそく自律神経の研究で知られる順天堂大学医学部の小林弘幸教授にうかがいました。

「車内で聴く音楽によってナイスショットが打てるとか、ミスしやすいとか、そういうことはないでしょう。行きの車で聴く音楽は、クラシックでもロックでも、日本のポップスでも、ジャンルは何でもOKです。好きな曲を聴いてリラックスするのが一番ですよ」

 ふだんロックやアップテンポな曲が好きでよく聴いている方は、少しホッとしたのではないでしょうか。「ゴルフに行く朝の雰囲気には合わないかな」と心配したり敬遠したりしたかもしれませんが、これからは好きなロックをかけてゴルフ場までのドライブを楽しめそうです。

 ただ、好きな曲を聴くのがいいとはいえ、注意点もあると小林先生は言います。

「一つは、音楽によって気持ちが大きくなったり調子に乗ったりして、車のスピードを出さないよう気をつけることです。スピードを出すと危険なのはもちろん、そういう運転をすると自律神経のバランスが乱れてしまい、ゴルフのプレーに良くない影響があるからです」

局に感情移入しすぎると自律神経が不安定に

「もう一つは、好きな音楽といってもカラオケの締めに歌い上げるような、とっておきの曲は避けたほうがいいでしょう。歌詞や曲の世界に入り込んでしまうと感情的になり、自律神経が不安定になってプレーに悪影響が出ることもあるからです」

 音楽そのものはゴルフにほとんど影響しませんが、車の運転はゴルフのプレーに大きな影響を及ぼすため、音楽によって運転の仕方が変わらないように注意することが大切です。また、朝は好きな曲をかけてリラックスし、思い入れのある曲は帰りの車内で聴くのが良さそうです。

 一方、好みにこだわらず、さまざまな曲を聴いてみたい方もいることでしょう。そういう方は、ブルートゥースとスマホの音楽配信アプリを使ってみるのもオススメだそうです。

「いろいろな曲がランダムにかかるのがいいですね。私も1980年代のポップスから流行りの曲までシャッフルしてよく聴きます。昔懐かしい曲や最近どこかで聴いたことのある曲がかかると口ずさむこともありますし、知らない曲が流れても自然に耳に入ってきます」

 BGMとして自然に耳に入って流れていく音楽は誰にでも心地良いものですから、同乗者がいても車内にリラックスムードが生まれそうです。思わぬ曲がかかったのをきっかけに話が弾むこともあるでしょう。

「スマホやアプリを使わなくても、ラジオも良いと思います。さまざまなジャンルの曲がかかりますし、パーソナリティーのタイムリーで軽快な話も聞き心地が良いので、個人的には、ゴルフに行く朝はFMラジオを聞くことが一番多いです」

 1日の中で、朝はそれまで優位だった副交感神経が下がり、交感神経が高まっていく時間帯です。両者がスムーズに入れ替わって1番ホールで良いスタートが切れるよう、行きの車内では好きな音楽やBGMを聴いて安全運転でドライブを楽しみたいものです。

■小林弘幸(こばやしひろゆき)/順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認ドクター。国内における自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティストのコンディショニングやパフォーマンス向上指導に携わる。『自律神経を整える習慣・運動・メンタル』(池田書店)、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)など著書多数

【自律神経とは?】全身に張りめぐらされた末梢神経で、内臓の働きや血液の流れや体温調整など生命を維持するための機能を司る。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」とに分けられ、「交感神経」は体をアクティブにする役目、「副交感神経」は体をリラックスさせる役目を担っている。車に例えると、アクセルとブレーキのように、両者が交互にバランスよく働くことによって心身ともに快調を保つことができる。このバランスが乱れると、スポーツや仕事のパフォーマンスに影響があるだけでなく、身体的にも精神的にもダメージを与える。

野上雅子