雪国のゴルフ場は普通、冬季はクローズ期間になります。しかし、北海道美唄市に「スノーゴルフ」が楽しめるコースがあるというので、果たしてどんなものかとe!Golf編集部員が実際に体験しに行ってきました。

最高気温が零下の世界でのゴルフって!?

 北国の冬は厚い雪に閉ざされ、ゴルフをプレーすることは不可能となるケースがほとんどです。ましてやそれが北海道ともなればなおさら。彼の地では、ゴルフ場は11月から4月頃まで冬季クローズになるのが一般的で、2月に営業しているコースなどあるはずもありません……と思いきや、実はあるんです、一面の銀世界の中でもプレーが楽しめる場所が。

 本来は半年近くプレーを我慢しなくてはならない極寒の地で、熱いゴルファーたちが楽しむ「スノーゴルフ」とはどんなものなのか、実際に体験した記者がレポートします。

「スノーゴルフ」を楽しむゴルファーたち

 やってきたのは北海道美唄市。新千歳空港からクルマで北へ1時間半ほど走ったところにある自然豊かな街です。そしてもちろん豪雪地帯。しかも、美唄市の公式サイトによると「国の特別豪雪地帯」に指定されていると言いますから筋金入りです。

 雪が多いだけでなく、気温も低いのは言うまでもありません。なんと2月の平均気温は最低がマイナス12.1度で最高がマイナス1.4度(1991〜2020年のデータ)。

「さ、最高気温が零下!?」

 どんな格好で臨むべきなのか出発前に思案していた記者は、気象庁の公式サイトで下調べしていて驚愕しました。記者は東北出身のため雪には慣れていますが、この寒さは未知の領域。果たして、そんな場所でゴルフなどできるのであろうか。不安を抱えての北海道行きとなりました。

 前泊して2月19日(土)、いよいよ噂の現場のGOLF5カントリー美唄コースへ。クルマを降りての第一印象は「シンプルに寒い」。しかし、コースに出てみて白銀の中、ゴルファーたちが1打1打に一喜一憂しているシュールかつ幸福な様子を見ていると、気温のことばかり気にしていた自分はどこへやら、テンション爆上げで「早く打たせろ」という気持ちになるのはゴルファーの性というものでしょうか。

 が、しかし、今回お邪魔したのは「スノーゴルフトライアスロン」というイベント。ゴルフの前に5キロのラン、2キロのバイク(自転車)をクリアしなければなりません。

「えっ、ランとバイクの距離が逆じゃないの!?」と、運営側の間違いではないかと訝しんだ記者ですが、スタート前にバイクに試乗させてもらって納得。使用される自転車はいわゆるファットバイクで、タイヤの太さが一般的な自転車の何倍もありますが、それでも圧雪されただけの雪面ではタイヤが沈む沈む。まったく惰性では進まないため、それなりの勾配のある坂道を上るような負荷を受けながらひたすら漕ぎ続けなければなりません。

 しかも記者は体重0.1トンの巨体。タイヤの沈む深さも人並みではありません。寒さのことなど気にしている場合ではなかったことをこのとき思い知らされたのでした。

 というわけでゴルフに行きます。

 いや、一応スタートはしたんですよ。したんですが、ランで1キロほど走ったところで悟りました。これは無理だと。何しろ記者の体重は(以下略)のため、足を取られて足腰への負担が半端ではなく、このままでは肝心のゴルフがレポートできなくなってしまう!そう考えての苦渋の決断でした。さすがに後戻りするのはカッコ悪いので、残り4キロを完走ならぬ“完歩”したところで運営スタッフに頭を下げてバイクのパスを認めてもらったのでした。

 しかし、走るのを断念したのも決して悪いことばかりではなく、途中、ここGOLF5カントリー美唄コースの名物ホールである東コース8番パー3の浮島グリーンが雪に覆われている姿をこの目で見られました。国内女子ツアーのゴルフ5レディスを過去5回開催している名コースの真っ白に雪化粧した姿を見られたのは得難い経験だった、と思うことに決めました。

“申ジエ打法”がスノーゴルフの極意!?

足元が不安定な中でもナイスショット!

 さて、いよいよゴルフですが、こちらのスノーゴルフは深雪に覆われたゴルフ場を圧雪して4ホールを“設計”。グリーンは正方形の人工芝を敷き詰め、カップは直径が通常のカップの倍ほどある、いわゆる“デカカップ”を採用しています。

 泣く泣くバイクを断念して臨んだ緊張のティーオフ、ピンクのカラーボールは北海道の澄んだ空気を切り裂きフェアウェイど真ん中へ、という具合にうまくはいかず、ダウンスイングでバランスを崩してのショットは力ないフケ球。深雪の中に消えていきました。悔しいのでワンペナの救済は使わず打ち直しに。するとその時、記者の脳裏を午前中に回っていた地元ゴルファーの素晴らしいショットがよぎったのでした。

「ナイスショット!」と同伴プレーヤーから声がかかると、本人は照れ隠しのように「足動かないのがいいんでないかい? 申ジエみたいにさ」。

「これだ!」

 ひらめきを生かし、ベタ足で打ったティーショットは、さっきとは打って変わったいい当たり。スノーゴルフのティーショットは“申ジエ打法”がいいようです。

 が、乗せてやろうと意気込んだ4打目のアイアンショットはしかし、オーガスタナショナルの白砂のバンカーショットもかくや、と言わんばかりに雪煙が舞い上がる大ダフリ。続く5打目のハーフショットもグリーン周りのアプローチもチャックリでこのホールはダブルパー。やはりスノーゴルフは当然ながらティーショットよりセカンド以降が問題のようです。

 ただ、これもホールを追うごとに何となくコツがつかめました。地面からのショットはフェアウェイバンカーの要領でボール位置を右め、いくぶん左足体重で打つとクリーンに当たってくれたのです。アプローチは元々がチャックリ癖のあるタイプなのでウェッジを持つことは諦め、ユーティリティーに切り替えました。それでもグリーンが意外と難しく、4ホール通算で8オーバーに終わりましたが……。

「スノーゴルフ」を体験してみての全体的な感想ですが、まず、白銀の世界でゴルフをプレーするという“非日常感”。これは世界中に変わったゴルフ場は数あれど、かなり上位に食い込むのではないか。早い話が、結構こすれる話のタネになります。ゴルファーはもちろん、ノンゴルファーにもテッパンでしょう。SNS映えスポットとしても優秀であるのは言うまでもありません。

 そして、記者のような話のタネのために訪れた道外ゴルファーだけでなく、しっかり地元のゴルファーがプレーを心底楽しんでいるのを目にすると、ゴルフというスポーツの魅力(というより魔力と表現するのが適当かもしれません)を再認識させられます。

「いや、聞きたいのはそういう情緒的なことじゃないのよ。実際にプレーして面白いの? どうなの?」という突っ込みが入りそうなので、正直なところを書きます。

 最初はやはり条件がシビアなため、ダフリの嵐で素直に「楽しい!」と言える感じではなかったです。でも、ホールを、ショットを重ねるごとに、工夫をして当たるようになると、苦労した分なおさらうれしい。なんだかゴルフをやり始めた頃の気持ちに戻れた気がします。それに、シビアな条件下で自分なりに試行錯誤して打てるようになるということは、これ、案外上達の近道なんじゃないの? とも思いました。

 北海道は洋芝のフェアウェイが基本。ボールとクラブのコンタクトがシビアということは共通しています。スノーゴルフで鍛えたアイアンショットのキレが、夏の洋芝で大爆発!なんてこともあるのかな、などと妄想しながら、同僚の娘さん用に買ったご当地モケケを抱いて帰路に就いたのでした。

e!Golf編集部