硬ければボールを止めづらくなり、柔らかいほうが止めやすくなるグリーン。ところで、グリーンの硬さはどのように調節しているのだろうか?

砂の量、有機物の量、水分量で決まる

 ゴルフ場のグリーンは硬いと難易度が上がり、柔らかいと難易度が下がります。

 グリーンの硬さを表す指標はコンパクションです。マスター室前に「本日のグリーンコンディション」という項目があり、「スティンプメーター9フィート」「コンパクション22ミリ」などと掲示されています。コンパクションの数字が大きいほどグリーンが硬くなります。

柔らかすぎると写真のようにボールがグリーンに食い込むことも 写真:unsplash

 グリーンの硬さは何によって決まり、どのように調整するのでしょうか。コース管理の専門家に話を聞いてみました。

「グリーンの硬さは表面に生えている芝の状態よりも、地面の下の状態が影響します」

「日本のグリーンのほとんどはサンドグリーンですから、地面の下には砂の粒と有機物しかありません。有機物というのは生きた芝の根と、死んだ芝の根と、グリーンを刈るときに回収しきれなかった芝の細かい刈りカスです」

「砂の粒の割合が多いと硬くなります。有機物の割合が多いと柔らかくなります。また、水分量が少ないと硬くなり、水分量が多いと柔らかくなります」

「何にたとえたら分かりやすいか考えたところ、高野豆腐みたいなイメージです。水分がないとカチカチになり、水分を含むと柔らかくなります」

「ですから、ただ単にグリーンを硬くしたいのであれば、砂をどんどん入れて水分を減らし、ローラーで転圧をかければ硬くなります」

 しかしながら、そのような方法で硬くしたグリーンには弊害があると言います。

「そういうグリーンはスピンが効いたショットでも止まらないんですよ。プロゴルファーがいいショットを打っても止まりませんから、フェアウェイから打ってもラフから打っても一緒です。グリーンの手前に落として寄せワン勝負みたいな試合展開になります」

 一方で、グリーンが柔らかいと、どんなボールでも止まってしまいます。

「こちらはフェアウェイから打ってもラフから打ってもボールが止まりますから、ティーショットを飛ばした者勝ちみたいな試合展開になります。いずれも腕を競い合うのにフェアなグリーンではありません」

生きた芝の根が地面の下に密集して硬くなるのが理想的なグリーン

 では、スピンが効いたショットは止まり、スピンが効いていないショットは止まらないフェアなグリーンはどうやったら作れるのでしょうか。

「大事なのは生きた芝の根の数です。グリーンの芝は、まだ寒い1月後半くらいから地面の下で新しい根を出します。それが4月からゴールデンウイークくらいまでの間に一気に発達します」

「新しい根がたくさん出てくると、地面の下で押しくらまんじゅうをしているような状態になります。そうなると乾燥や固結ではなく芝の根の粘りで硬さが出るので、スピンコントロールされたショットじゃないと止まらないグリーンになります」

「そういうコンディションのグリーンであれば、ティーショットもラフではなくフェアウェイに置かなければなりません。そうすると選手もコースマネジメントを考えます」

「いいショットが報われるのであれば、ノッている選手がグイグイ攻めて面白い試合展開になり、スーパーショットが飛び出して感動的なシーンが生まれる可能性が高くなると思います」

 トーナメント中継を見ていると、実況アナがほめ言葉のように「コンクリートのように硬いグリーン」などと言ったりすることがあるが、グリーンは硬ければ硬いほどいいわけではない。

 いいショットだけを受け止めて悪いショットをはじき出す“フェアな硬さ”が理想的とのこと。

 アマチュアゴルファーがそのようなグリーンでプレーする機会はあまりないでしょうが、カップの位置に対してどんな角度からショットを打てばボールが止まるかを考えることがコースマネジメントの第一歩になるのかもしれません。

保井友秀