すっかりセルフプレーが主流になって久しいゴルフのラウンド。たまにキャディー付きで回ると、そのプレーしやすさに「やっぱりいいな」と思います。ただ、悩むのが今どきでもチップは渡すべきなのか、渡すならいくらか、などです。

渡すとしたら“野口英世1枚”でいいの?

「いまから20年以上前のことですが、お正月の三が日でキャディーマスター室に合わせて7〜8万円ほどチップをいただいたことがありました」

最近は“野口英世1枚”にすら出会えない場合も多いようです 写真:AC

 そう振り返るのは、あるゴルフ場に勤務する男性です。

 当時、お正月休みにゴルフをしに来るプレーヤーから頂いたチップを、マスター室勤務の若い職員数人でありがたくシェアしたそうです。

「キャディーさんたちも、それぞれ頂いたと喜んでいましたよ。マスター室にチップを頂くのはお正月くらいでしたが、今はそれもほとんどなくなってしまいました」

 乗用カートのセルフプレーが普及した現在、ゴルフ場で働く人やキャディーさんにチップを渡すゴルファーはどれくらいいるのでしょうか。

 6〜7年前から関東のあるゴルフ場に勤務している40代の女性キャディーさんに聞いてみました。

「チップを頂く頻度は、半分より少ないと思います。私の場合は週3回勤務しているのですが、そのうち1回くらい頂く感じでしょうか」

 どういうプレーヤーが心づけを渡すのでしょうか。

「毎回のようにチップをくださるのは、顔なじみのメンバーさんや定期コンペの幹事さんです。その他ですと、初心者を連れていらした先輩ゴルファーのお客様、うちのコースが初めての客様、女性を連れてカップルでいらした男性のお客様から頂くことがあります」

 メンバーやリピーターのゴルファーは「いつもありがとう。今日もよろしくお願いします」の挨拶として、初めてのゴルファーは「ご面倒をおかけするかもしれませんが、サポートをよろしくお願いします」の気持ちを込めて、チップを渡しているようです。

 これからの参考のために、気になる金額とこれまでの最高額についても教えてもらいました。

「頂くのはだいたい1000円です。たまにですが、ぽち袋を開けたら3000円入っていることもあります。これまでで一番頂いたのは、たまたまついた組のメンバーさんがホールインワンを達成された時ですね。チップとは言えないかもしれませんが、後日、地元の高級料理店での記念お食事会のご招待を受けて出席し、2万円分のクオカードをいただきました」

 他のキャディーさん数人にも聞いたところでは、どうやら平均的な金額は1000〜3000円くらい。同組の4人で1人500円ずつ出し合い、計2000円(さすがに小銭4枚でなく千円札を2枚です)渡すパターンもあるそうです。

 ここで誤解のないように付け加えると、プレーヤーはキャディーフィーを支払いますので、キャディーさんに直接現金を渡す必要はありません。ただ、そもそもチップは、サービスを受けたことに対する心づけとして渡すものです。よくやってくれた(くれそうな)キャディーさんに「ありがとう」「お世話になります(ました)」の挨拶とともに渡すことで、より気持ちが伝わるでしょう。

 ゴルフ場によっては現金を渡すことを禁止している場合もあり、固辞するキャディーさんもいます。その場合は、茶店や自販機のところで「飲み物は何がいいですか?」と聞いて、ドリンクを渡すと喜ばれます。特にこれからの季節、キャディー業務は重労働です。キャディーさんが前半と後半とで変わったときも、同じ人だったときも、できれば両方渡してあげたいものです。

もらって困ったのはお客さんの“手作りおにぎり”

 ちなみに、現金以外で喜ばれるものや、気持ちはありがたいけれど頂いて困るものはあるのでしょうか。

「デパートの包装紙で包まれた箱入りハンカチ、企業のコンペで頂いた自社商品の詰め合わせなど、わざわざ用意してくださったときは本当にありがたいし、うれしくなりますね。どういうものでもありがたいのですが、しいて言うなら朝食用の手作りおにぎりをいただいて困ったことがあります。朝食を済ませてお腹がいっぱいだったのと、苦手な具だったので食べられなくて、お昼休みに若い研修生に食べてもらいました」

 女性が喜びそうなかわいい小物や保存食、お菓子など“手土産の定番”が喜ばれるのですね。反対に生ものに近いような食べ物は避けたほうがよさそうです。

 今回話を聞かせてくれたキャディーさんたちは「チップを頂かなくてもしっかり仕事をするのは当たり前です。ただ、チップを頂いたときは良いスコアで楽しく回って頂きたいと思い、聞かれたことにプラスアルファでお答えしてしまいます」

 日本では海外ほどチップを渡す習慣は一般的ではありませんが、会社の部下を初ラウンドに連れていく、ビギナーの奥さんとゴルフに行く、ゴルフ歴の浅い若い人をホームコースに誘ってあげた、代表者となって初めてのコースを予約した……というときは、スタート前、キャディーさんに「今日1日、よろしくお願いします」の心づけを渡してみてはいかがでしょうか。

“野口英世先生”1人でキャディーさんをより笑顔にできれば、プレー経験の浅い部下や奥さん、若い人の足どりもきっと軽くなるでしょう。

野上雅子