ゴルフの腕前だけではなく、ゴルフを社交として活用したいゴルファーのためのコミュニケーションスキルを、かずこが伝授いたします。
1日のラウンドでその人すべてを観察されてしまう
ゴルフは、年齢差、男女差を問わず同じルールで楽しめるスポーツ。しかも、一緒に過ごす時間が長いことも特徴です。そこで大切なのは、スコアや技術力の高さもさることながら、ラウンド中のコミュニケーション力。だって18ホール回る間に、立ち居振る舞いや言葉遣いなど、プレー以上のその人すべてを観察されてしまうのですから。

ゴルフの腕前だけではなく、ゴルフを社交として活用したいゴルファーのためのコミュニケーションスキルを、夜の人間交差点「銀座」で生き抜いたわたくし、かずこが伝授いたします。
今回のテーマは「コミュニケーションのステップアップ術」。ゴルフ中のコミュニケーション力に3段階をつけてみました。
レベル1.感情主体からの脱皮
朝のあいさつに始まり、「ナイスショット!」「ナイスアウト!」……etc。ゴルフシーンでは、さまざまな言葉が飛び交います。
はたしてあなたは、ミスショットした後にどんな言葉を発しているでしょうか。
「クソ!」「ムカつく!」「なんだよ!」など声を荒げたり舌打ちをして、感情的でネガティブな言葉を吐き捨てたり態度に表したりしてはいませんか?
私の考えるコミュニケーション力の最低レベルが「感情主体」。
周りがどう思うかなんておかまいなし。思い通りにならなかったら泣きわめく、ふてくされる、じゃ、子どもと同じです。
そんな言葉や態度を歓迎する同伴者は存在しないのではないでしょうか。
あなたにもしも心当たりがあるなら、今日からでも遅くありません。負の感情を表に出さない訓練をしてみてはいかがでしょう。
ネガティブな言葉に代えて、「集中、集中!」「次はがんばるぞ」など、前向きな言葉に置き換えられるクセをつけるのもいいでしょう。
レベル2.自分主体の会話から始めない
「このクラブ、最近やっと手に入れて調子よくて。○○のシャフトともすっごく相性いいんですよねー」
「いま、○○プロみたいなスイングに改造中なんですよね。でも今日は調子悪いなー」
「今のショット、軽いドローで木の右を狙ったんだけど、上から入っちゃったなー」
そんな風に、会話のきっかけがまず自分の話からばかり、という方もあまり賢くは見えません。たまたま相手の興味にハマればいいけれど、そこを期待するのは無理があります。まあ、期待というより無意識に出てしまうのでしょうけど。
同伴者にしてみれば、「そんなの知ったこっちゃない」というのが本音ではないでしょうか。
例えばクラブの話なら「これ、評判いいですね、どうですか?」
スイングの話なら、「すごくきれいなスイングですね! どこかで習っていたんですか?」
ショットの話なら「今のショット、高さも球筋も完璧でしたね! どこを狙ったんですか?」
などと、もしも自分が話したいことを話題にするなら、まずは相手に話題のテーマを投げかけ、反応を見てから深い話しをするといいですよ。
レベル3.相手が主体の振る舞いをする
知的で紳士・淑女的な人は、相手主体の振る舞いができる人と考えます。
例えば、ゴルフに不慣れな人がOBを連発してしまいとても焦っているとします。
ここでイライラするのではなく、「ボクも昔はいつもそんな感じだったよ」と言ってあげられる人。
例えば、ルール&マナーをまだ知らないビギナーが自分の前から打とうとしたとき、「邪魔だからどいて」と追い払うのではなく「ボクのボールが当たったらケガしてしまうから、ゴルフの時は打つ人の前に出ないほうがいいよ」と教えてあげられる人。
例えば遅刻をしてしまいそうな人からの電話に対して、「遅刻は言語道断。ボクなんかかなり余裕をもって来てるのに!」と怒るのではなく「何かあったのかな? 焦らず気をつけて来てね!」と思ってあげられる人。
常に相手がどんな気持ちでいるのかを察し、あくまでも相手主体の振る舞いができる人はとてもステキだと思います。
スコアを崩して落ち込んでいる人に対しても同じ。
聞かれてもいないのに「グリップがおかしい」「ヘッドアップしてる」なんて、一方的に指摘するのは自分主体の行動と言えます。
自分はよかれと思ってアドバイスしてあげているつもりでも、見当違いで本人はまったく違うところが気になっているかもしれない。ラウンド中に余計なことを言われたら、ますます調子が狂うというもの。
かといって、こちらも一緒に沈黙してしまうのも雰囲気が悪い。相手に気を使わせてしまいます。
そんなときはやんわりと、「なにか悩んでる?」「どこか気になってる?」などと聞いてあげましょう。
「大丈夫です」と言われればそっとしておいてあげればいいし、「どこがおかしいか分からないんです」と言われれば、「気持ちスイングが速いかもね」などと、シンプルなことをさりげなくアドバイスしてあげる。
まずはお伺いを立て、自分ができることだけをしてあげる。
相手が欲していることに応えてあげることが、相手主体の振る舞いです。
あなたが少しでも相手のことを慮ってあげられることで、ゴルフは何倍も楽しくなる。これは本当です。
このステップは、日常生活にも共通しています。
少しの気づきで、あなたを取り巻く人間関係が、より快適になることを心から願っています。
Kazuquo
東京・銀座で10年。ゴルフ歴も10年目に突入! 老若男女、プロアマ問わずゴルファーも多く通う会員制バー「銀座Room」のママとして、カウンター越しに日本社会で頑張る皆様のお側に寄り添っております。企業の社内コミュニケーション研修などもしております。ベストスコアは81。著書『僕と母さんの餃子狂詩曲』(集英社クリエイティブ)発売中。
高橋佳子