昔も今も「“タテ振り”しなきゃ!」「“ヨコ振り“の方が良い!」論争は、レッスンの現場で繰り広げられています。インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチは「PGAツアーの影響でトレンドに流される気持ちも分かりますが、そんなにコロコロ対応はできませんよ」。一体どうすれば良いの!?

肩のラインに対する腕の高さ(角度)がポイント

 何年も何十年も、いや何百年もゴルファーの間で“タテ振り”“ヨコ振り”どちらが良いのか? 常にトレンドが揺れ動いています。

 基本的には両肩のラインより腕の位置(角度)が高いほど“タテ振り”、両肩のラインから低くなるほど“ヨコ振り”の印象が一般的には強くなります。また、“タテ振り”を「アップライト」、“ヨコ振り”を「フラット」スイングとも呼びます。

腕がどの位の高さ(角度)か?によって「タテ」「ヨコ」の印象が決まる

 実際にはクラブでボールを打つので、シャフトの傾きで「アップライト」「フラット」の区別をする事も多いです。

 どの時代にも“タテ振り”“ヨコ振り”スイング、それぞれトップ選手が存在し、その「強い理由」に使われる材料となっています。しかし、実際にコーチングや取材を通じてプロゴルファー本人に聞いてみると「そんな事は意識した事がない」の返事が返ってくる事が多いのも現実です。

 では、なぜ“タテ振り”“ヨコ振り”スイングのレッスンは存在するのでしょうか?

イメージと現実のギャップを理解する

 言うまでもなく、番手や個人での大小の違いはあるものの、基本的にゴルフスイングは「斜め」に行われます。しかし、ゴルフレッスンでは「水平に回す」や「上げて下ろす」など“タテ振り”“ヨコ振り”を強調したアドバイスが行われています。

 なぜこんな「カオス」な状態になっているのでしょう。例えば、顔が隠れてしまうほど腕を上に上げて打つ「強いクセ」のゴルファーがいるとします。

自分の「クセ」と改善「イメージ」がミックスされ、「実際のスイング」は行われている

「斜め」にしてもらうのが目標ですが、そもそも本人はタテに振り過ぎている意識はありません。そこで“ヨコ振り”を強調する「イメージ」をアドバイスする事で、結果として普通のスイングに近づける事ができます。

 レッスンをする側とされる側が現状と対策を共有するのは必須ですが、もし何も知らない隣の打席のゴルファーが見た場合「このプロは“ヨコ振り”理論だな」などと勘違いしてしまうかも知れません。

 しかしもっと問題なのは、相手のクセを無視して誰にでも「自分がうまくいった方法」を押し付けてしまう場合です。たまたまクセを相殺してうまくいっただけなのに、逆の傾向の人にまで「上達の〇〇理論」としてしまう文化が、日本のレッスンには多く見受けられます。

 派手なキャッチコピーや一発で解決するレッスン用語には、強いクセの人だけに合う「極論アドバイス」が多いので注意して下さい。

トップよりフォロースルーが「タテになる」理由

 簡単に“タテ振り”“ヨコ振り”を見極める前に、まずアドレス時の「前傾角度」に対して体の各所がどんな動きをしているのか、チェックしてみて下さい。

中腰だったアドレス〜インパクトに比べ、フォロースルー以降はだんだんフィニッシュに向かい「タテ振り」気味になる

 例えば飛球線の後方から見た場合「骨盤の傾斜」を基準に見てみると、上半身がどのくらいの位置に来るべきか、おおよその目標ラインが見つかるはずです。レッスンプロの多くは骨盤の傾きと肩の角度が同じように捻転する事を「水平に回す」と言いますが、正しくは骨盤のラインと「平行に見える」になります。

 体が斜めに使えるようになっても、勝手に腕も使えるようにはなりません。逆もまた然り。腕だけで斜め具合を調整した所で、身体の動きとマッチしていなければ小手先の調整に過ぎません。

 アドレスからインパクトまで中腰で行うゴルフスイングでは、フォロースルーからフィニッシュに向かって、ヒザの曲がり具合や前傾角度がなくなり、腕も引っ張られ伸びていきます。

 遠心力を活用したスイングをした場合、本人のイメージや持ち球・持論(理論)に関係なく、少しだけスイング前半に比べスイング後半の腕の角度はわずかに高くなっていきます。明らかに後半が低くフラットなら、アウトサイドインが強いか腕とクラブに遠心力が働いていないスイングということです。

 もし「トップとフォローは絶対に同じ高さで!」という人がいるなら、実際のスイングを撮影してみて下さい。シャフトもしなりますし、人間の体も伸び縮みしますのでゆっくり素振りしない限り無理だと思います。

素振りと本番は違うのが当たり前!?

 打ちっぱなしの練習場やコースでよく「素振りは良いんだけど……」の声を耳にしますが、ボールを打った時のスイングと素振りのフォームが違うのは当たり前です。素振りは自分のクセを軽減するイメージと割り切ってることをオススメします。

 この考え方は僕の持論ではなく、多くのプロ&上級者が普段から行なっている事です。「打ちたい弾道」を実現するため、足らない部分の「イメージ」を素振りで足す事で、実際のスイングの中に要素をプラスする狙いがあります。

 プロたちのスイングそのものより、ショットに入るまでの仕草にも注目してみると、彼らの頭の中やイメージを垣間見る事ができるかも知れません。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール