「バランスはD0」など、ゴルフクラブに使われている “スイングウエート”の数字。クラブセッティングの中で バランスを「そろえる」「そろえない」どちらが良いのか? 人気インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに詳しく解説してもらいました。

“スイングウエート”はバランスじゃない!?

「良いor悪い」の前に、そもそも “スイングウエート”とは何なのか? のお話をします。

「Dいくつ」などのバランスの表記は、クラブの「重心点」からの長さ(インチ)とクラブ総重量(オンス)を掛け合わせた面倒臭い計算式を簡易的に記号化したもの。しかも昔は12インチ法だったものが途中から14インチ法に変更されて現在に至っています。

クラブセッティングにおいてスイング“バランス”より大事なものは?

 “スイングウエート”の計算式や数値もありますが、はっきり言って知っていてもあまり使い道はないと思いますのでゴルファーのみなさんが“スイングウエート”のバランス表記をどのように扱えば良いのか? 実際の話に移って行きたいと思います。

 “スイングウエート”のバランス表記は、ヘッド、シャフト、グリップの重さ、クラブ長さの要素でコロコロ変わります。逆に言うと、クラブメーカーが同じ製品を大量生産する際に「均一性」を見る指標としては便利です。

 それぞれのパーツの重量だけでなくクラブとして「数字的に同じもの」にする事ができているのでメーカーのカタログスペックに採用されているのです。

現代のクラブセッティングに“スイングウエート”は必要ない!?

 “スイングウエート”のバランスを「そろえるべきか?」の疑問には、基本的にそろえる必要はないとお答えしています。

 数十年前のように、全体的にクラブ長さが短くドライバーからパターまでほぼ同じ重量のスチールシャフトが装着されていた時代には、各番手のヘッド重量の差を見る意味でも使い道があったと思います。

“スイングウエート”は専用のバランサーで計測する

 また、そのころからクラブにこだわっているゴルファーにとっては、“スイングウエート”をそろえることで「安心できる材料」にはなると思います。

 しかし現代のクラブは、クラブ長さもそれぞれのパーツ重量も多様化しています。例えば“スイングウエート”のバランスが「D5」と言っても、クラブが長いせいなのか? それともヘッドが重いせいなのか? グリップが非常に軽いせいなのか? クラブとしての振り心地をそろえる材料として使う数字ではない事が明らかです。

 ただ、例えばお気に入りのウェッジから買い替える際に同じシャフト・同じ長さで使う理由でバランスを確認する事は「大いにアリ」だと思います。

セッティングで見るべきは、まず重さと長さ

 クラブセッティングで「振り心地をそろえる」ことは簡単ではありません。そもそも全ての番手をロボットのように同じスイングをする事は出来ませんし、“スイングウエート”の数字だけに固執しても、シャフトのしなりやロフトの違いに対する弾道の差など様々な要素も絡んできます。

 かといって「どうせヘタなんだからクラブは関係ない」や「プロじゃないんだから何を使っても一緒」と極論的に考えるのもゴルフの楽しさを否定している気がします。

クラブセッティングのバランスにこだわるなら、とりあえず「クラブ長さ」と「クラブ総重量」のフローをチェックしてみよう

 ラウンドでは大体のゴルファーが「まずドライバー」から始まって、グリーン上ではパターを使いホールアウトします。そして次のホールでは、またティーショットするクラブが変わります。ドライバーからパターまでの一方通行ではなく、グルグルとローテーションしながら使っています。

 そこで(家にあるもので結構ですので)とりあえず「クラブ長さ」と「クラブ総重量」を測って書き出してみてはいかがでしょうか? この中には、パターも必ず入れて下さい。大体で良いので、長いクラブから短くなるにつれてクラブの総重量が重くなっていればとりあえずOK。

「何グラムピッチが良い」等のクラブ長さに対する重量フローをチェックする場合は注意が必要です。なぜなら最近のクラブ総重量の「傾向」は、ドライバーをはじめ年々軽くなっている一方で、パターだけは同じヘッド形状のモデルでも重くなっているからです。

 同じ番手でたくさん打つ練習とは異なり、毎ショット番手を変えて打つラウンドでは、そのクラブの振り心地だけでなく「その前後に使う番手」による影響もクラブセッティングに含まれます。

 ラウンド時のショット傾向をなんとなく思い出してもらえると、「パターが重いからゆっくり打てて、ドライバーは軽いからビュンビュン振れる」ゴルファーもいれば「ユーティリティーは軽めの方がリキまず打てる」「昔のパターの方がしっかり打てる」などちょっとしたことで「意外な解決」が起きるのもギアの魅力です。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール